エクソンモービル【XOM】の株価・銘柄分析と今後 世界最大の石油メジャー

エクソンモービル【XOM】の基本情報と歴史

エクソンモービルは世界200ヶ国以上で事業を行うエネルギー会社であり世界最大手の石油メジャーです。21カ国に38の石油精製所を展開し、毎日の石油精製量は630万バレルです。エクソンモービルが保有する油田の石油埋蔵量は2007年末で720億バレル換算とされ、現在の生産量で14年以上持つと言われるほどの驚異的な生産能力を誇っています。石油精製事業の他に天然ガス関連事業やポリエチレン、ポリプロビレン、プラスチックなどの石油化学製品等の生産販売も行っています。

このようにある程度分散された事業形態ですが、石油精製事業エネルギー資源の探鉱・生産、輸送、精製、販売までの事業を垂直統合で一括で行っており原油・天然ガスの探査・生産を行う(上流)アップストリーム事業とは石油製品の製造と販売を行うダウンストリーム(下流)事業に分かれており、原油価格が上昇すれば上流部門が収益を拡大し、下落すれば下流部門がそれを下支えするので同業他社ほど原油価格による影響を受けにくい(それでも大きく影響があります)です。

元々は2社とも、ジョン・ロックフェラーが1870年に設立したスタンダード・オイル社が源流です。スタンダードオイル社は1911年に反トラスト法違反で連邦最高裁判所による解体命令を受け、34社に分割されました。分割された34社のうち、スタンダードオイルニュージャージー(後のエクソン)とスタンダードオイルニューヨーク(後のモービル)の両社が1999年に合併しエクソンモービルとなりました。前身となる両社は共に第二次世界大戦後から1960年代まで石油生産をほぼ独占したセブンシスターズと呼ばれる石油メジャーの1つでありこの合併は超大物同士の合併でした。

また、極めて高い政治的影響力を持ち時には油田開発のために国家とも交渉をします。アメリカのトランプ政権最初の国務長官であった、レックス・ティラーソン氏は就任直前までエクソンモービルの会長兼最高経営責任者(CEO)でした。

企業情報(創業年・上場年と市場・従業員数・決算・S&P格付け

増配年数 37年
S&P格付け AA
従業員数 74900人
創業年 1870年
上場年 1920年
決算 12月

 

エクソンモービル【XOM】の株価推移


長期的に伸び続けており、2013年にAppleが時価総額で1位になるまで長らく時価総額において世界最大の企業でありましたが、ここ10年ほどは原油価格の低迷や原油需要に関する不安から業績と株価は伸び悩んでいます。そして、新型コロナウイルス流行による石油市場の崩壊と引き続く需要の低迷が株価に追い討ちをかけ急速に低迷しました。

それでも、新興国の発展に伴い2040年代まで原油需要は伸び続けるとの意見もOPECをはじめとする一部からはあります。これに関しては「再生可能エネルギーがどれだけ実用化され普及するのか」「世界各国の政府はどれだけ環境問題への対応に真剣に取り組むのか」の2つが今後の株価を左右すると考えています。

配当利回りは10%前後に達するなど極めて高くなっています。

また、1928年からNYダウ30種平均の構成銘柄でしたが2020年8月31日を持って遂に除外されました。これは石油の世紀が終わった事を象徴する出来事だと捉えられています。

PERとPBR・配当利回りの推移

グラフK バリュエーション

 

PERは「株価収益率」であり、その株式が収益の何倍で取引されているかを表しており一般的には割安か割高かを測る代表的な指標の一つと言われています。

ただし、これは先行きの業績に対する投資家の期待を表している面もあり低PERの株が本来の価値より割安なのではなく、万年割安株となる可能性もある事に留意しましょう。反対に高PERの株が一概に割高と言った訳でもなく、その高いPERは将来の成長によって正当化される可能性があります。(収益が上る=株価収益率は下がる)

また、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が上がることでもPERは低下します。

PBRは「株価純資産倍率」を表し会社が保有する純資産の何倍で株式が取引されているかを表します。1倍を下回れば会社清算時の残余財産分配額を下回る事になるため割安と言えます。

しかし、不人気な業種だったり将来性が乏しいとされる企業は1倍を切ったまま放置される事がある事とその純資産は全てが換金可能とは限らない事に注意しましょう。

これらは、業種別で比較することでより参考になります。

原油業界の先行き不安やESG投資などにより投資家の期待値が下がってPERも下落しつつあります。

エクソンモービル【XOM】の企業分析・注目ポイントと今後の事業展開

事業構成

事業構成

事業の構成比率を表しているグラフです。下流事業が多くを占めていますが、上流事業と化学事業も一定割合有しており、分散が図られています。

 

国・地域別売上高比率

国・地域別売上高比率

その企業の売上高が地球上のどこで生み出されたものなのかを表しています。単独では米国が一位ですが、その他の国でも幅広く事業を行っています。

原油需要の先行きとシェールガスの存在

エクソン・モービル(XOM)にとって原油価格の動向は売上高に直結する重要な問題です。近年の原油価格低迷を受けて株価は低迷しています。そして、近年のキャッシュフローから見て現金創出力に不安を持つ投資家の動向もあり他の石油メジャー(シェブロンやロイヤル・ダッチ・シェル)と比較しても低いパフォーマンスであり続けています。石油などの化石燃料から太陽光や風力といった再生可能エネルギーへの移行が世界で進んでいますが、IEA(国際エネルギー機関)の報告書によると、原油需要の先行きは2040年まで新興国の発展などを背景とした増加が見込まれています。

各国政府がどれだけ真剣に気候変動をはじめとする環境問題に取り組むかも今後の原油需要を左右するでしょう。

また、新たなガスエネルギーとして注目されているシェールガスの存在が原油価格を抑制している面もあり今後原油価格が急騰する事はあまり見込めないと思われます。

ESG投資の影響

近年、ESG投資を掲げる機関投資家(金融機関・年金基金・保険会社)などが出てきており環境への悪影響から石油関連銘柄(他にたばこ関連銘柄も含まれます)への投資を避ける事も起こり始めています。

莫大な資金を有する機関投資家が投資を行わないとなれば株価に大きな影響をもたらすでしょう。株価が割安に放置されたままであることも考えられます。実際、エクソン・モービル(XOM)の時価総額は2013年にApple(AAPL)に1位の座を奪われて以来低下の一途をたどっています。

しかし、特に配当狙いの個人投資家にとっては割安にこういった配当銘柄を買うことができるなど大きな投資チャンスとなる可能性があります。

 

エクソンモービル【XOM】の競合企業とその中での地位

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エクソンモービル【XOM】の業績データ

売上高と営業利益等の推移

グラフA 売上高と利益

売上高と営業利益等、損益計算書項目の推移を示しています。垂直統合型とはいっても石油会社なので原油価格変動の影響をかなり受けてます。今後、新興国が発展するために化石燃料をどの程度使うかが需要に反映されるため鍵を握るでしょう。

営業利益と純利益の推移

グラフB 営業利益と純利益

売上高と同じように原油価格の影響を受けた動きとなっています。

 

営業利益率と純利益率の推移

グラフC 営業利益率と純利益率

こちらも同じなのですが、原油価格が大きく低迷した2016年にも営業利益を黒字で維持したのはさすがだと思いました。垂直統合型によるリスク分散がある程度役割を果たした形です。

 

営業利益率・純利益率・売上高成長率の推移

グラフD 成長率

 

 

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1株の価値(BPS・EPS・SPS・CFPS)の推移

グラフE 1株の価値

 

 

グラフE2 1株当たりの売上高

 

 

グラフE3 EPSと1株当たりフリーCFの比較

 

 

順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)CFPS(1株あたりフリーキャッシュフロー)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。

CFPSは会計上の利益では無くフリーキャッシュフローの面から数字を出します。基本的にEPSと一致しますが、会計処理の方法が変わったり「純利益は減少したがフリーCFは増加した」場合などにより正確な情報を読み取る事ができます。

BPSは変わらず、非常に安定しています。価格が非常に厳しい中でかなり努力をしていると思います。

キャッシュフローの推移

グラフH キャッシュフロー

 

営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。

フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。

ここでは主に営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを紹介します。投資や財務コストに関しては設備投資やインスタント・カバレッジ・レシオを参照ください。

高い営業キャッシュフローを維持していますが、フリーキャッシュフローは辛うじて黒字と言ったレベルで原油価格が低迷し続ければ危なくなってくるでしょう。

しかし、元々エクソンモービルは負債の減少よりも株主還元も含めた資金の効率的な活用を重視しており短期的には負債が増えても、配当性向が100%を超えても配当金の支払いを継続していますし今後もそうする可能性を見込むことはできます。

 

グラフS キャッシュフロー比率

 

営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの成長率と売上高に対する投資の規模を示しています。

投資がどれだけ売上高に結びついているかを知ることができます。

エクソンモービル【XOM】の株主還元の推移

配当金・配当性向・増配率の推移

グラフF 配当と配当性向・増配率

配当金と配当性向の推移を記載しています。キャッシュフローの所で説明したように、株主還元を重視しており30年を超える連続増配銘柄です。

 2016年は配当性向が100%を超えており、キャッシュフローも厳しい年だったにもかかわらず配当金の支払いに加えて増配までしています。長期に渡り原油業界が低迷するとまた変わってきますが、短期的な低迷には耐えうる能力をこの企業は有しています。

 

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発行済み株式数の推移

グラフL 発行済み株式数

 

自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。発行済み株式数は厳しい時期から増えています。基本的に配当で還元していく方針であるためここは問題ないでしょう。

 

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エクソンモービル【XOM】の財務諸表と財務データ

 

グラフO・P 貸借対照表

貸借対照表の概略です。ここでは特に流動比率を見ると良いでしょう。流動資産が流動負債の額を上回っていれば短期的な債務を早期に完済する事が出来ると見込まれるからです。しかし、流動資産にも即時換金できるものばかりではないため内容が重要な事に注意しましょう。流動比率200%超えや当座(現金同等物)比率100%超えがより厳密に見た安全性の指標とみなされています。

2021年までを目処に150億ドル規模の非中核資産や不採算資産の売却をはじめとする事業の整理を始めました。2020年には急落した原油需要回復が未だ見通せないことから、同社は4月の早い時期に2020年度の投資を最大330億ドルの予定から230億ドルと30%削減することを発表しています。

グラフR 損益計算書(費用と利益)

 

業績の蘭で紹介済みの収益に対応した損益計算書の費用項目と残った利益を表記しています。

財務状態と健全性

グラフG 財務データ

ここでは、有利子負債比率・自己資本比率を紹介します。この自己資本比率と有利子負債比率は企業の健全性を大きく表しているので注目しましょう。

グラフQ 財務比率

 

流動比率、当座比率、財務レバレッジ、負債比率を示しています。

流動比率は流動負債に対する流動資産の割合で計算され、短期的な支払い能力を示しています。当座比率は、流動資産の中で「現金預金」「受取手形」「売掛金」などの現金化しやすい資産だけで計算される、流動比率よりも厳しい基準で見た短期的支払い能力の指標です。

財務レバレッジ銀行借入や社債発行などを活用して自己資本を梃子(レバレッジ)にどれだけ負債を活用しているかを示しています。後述される自己資本比率の逆数関係にあり、負債をどのくらい有効活用しているかを表すため、この倍率が高くなると、負債増加によるリスクが顕在化するため注意する必要があります。

 

設備投資額と研究開発費・減価償却費の推移

グラフJ 事業投資

 

設備投資の多い会社は成長企業と見られ、将来が期待されている事が多いです。中には維持費的なものもあるので多額の設備投資が何を目的にしているかは見極める必要があります。

設備投資額は事業の性質上毎年必要ではあるためここは仕方ないものと言えます。設備売却や投資を抑えることで現金を温存する選択肢ができるのもこの事業が生み出すメリットと言えます。

ROE・ROA・営業キャッシュフローマージンの推移

グラフI 経営の効率性

 

こちらは経営の効率性を示すROE、健全性を示す自己資本比率、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。

ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。

 自己資本比率はその名の通り総資産に占める自己資本の割合で計算されます。キャッシュフローはかなり厳しい状況にある同社ですが、自己資本比率は高くS&P格付けでも「AA」を得ています。1930年から2016年までは「AAA」を持つ3社のうちの一つでした。キャッシュフローの欄で解説した、負債圧縮よりも株主還元を重視してきた姿勢が格下げの要因の一つだとも言われており格下げそのものをあまりネガティブに捉える必要はないと思います。

 営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。

エクソンモービルの営業キャッシュフローマージンは11%近辺で安定しています。

グラフI-2 経営の効率性2

 

こちらでは投下資本利益率(ROIC)、インスタント・カバレッジ・レシオ、資産回転率の推移を示すグラフを掲載しています。

投下資本利益率は自己資本や有利子負債も含めた事業活動のために行われた投資がどれだけの利益を生み出したかを数字にしています。

インスタント・カバレッジ・レシオは、会社が営業活動により生み出す利益(基本的に営業利益)と金融収益(受取利息と受取配当金が主に該当)が、毎年の支払利息をどの程度上回っているかを示しており、 企業の財務健全性を示す数値であり、この数値が高いほど金利の支払いなどに関して財務的に余裕があります。反対に比率が低いと営業収益のうち多くの割合が支払利息に当てられる形で負債元本が減らず、財務上厳しい状態にあります。

総資産回転率は企業の資産が効率的に売上に結びついていることを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。

財務効率と回転率等

ここでは財務効率などに関連した数値を解説していきます。

グラフU 財務効率

ここでは、売掛金回収期間と在庫日数、回収期間、現金循環日数を紹介していきます。

売掛金回収期間は売掛金がどれくらいの期間をかけて回収されているかを日数で表しており、その日数が短いほど現金化までにかかる期間が短く資金を効率的に活用できていることになります。

在庫日数は在庫として滞留している日数を表しています。在庫として保有している商品の総数が売上の何日分と言い換えることも出来、この日数が少ないほど在庫量は適正な数にコントロールできていると考える事ができます。

回収期間は投資金額が投資によって生まれるキャッシュフローで計算して何年で回収することが出来ているかを表します。設備投資に関する収益性計算には様々な方法が存在しますが回収期間を指標とした場合、この期間が短いほど安全に効率的な投資ができていると考える事ができます。

現金循環日数は「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」とも言われ、企業が商品を仕入れるために支出を行なってから売上及び売上債権の回収によって現金を得るまでの期間を指します。この日数が長いほど、手元の現金が減っている期間が長い事になり資金繰りの懸念が現れるため、経営状態を表す重要な指標とも言えます。

グラフV 財務効率 回転率

ここでは、回転率を中心に解説します。売上債権回転率、棚卸資産回転率 固定資産回転率 資産回転率を紹介しています。

売上債権回転率は会社が有する売上債権の回収がどのくらいの期間で行われているかを示す指標で、この数字が低いほど債券の回収に時間がかかっており、資金の効率的な活用が妨げられている事になります。

棚卸資産回転率は在庫回転率と言われることもあり、仕入から売上に至るまでの在庫期間によって適切な在庫量などの判断をするための指標であり、在庫を減らしている会社はこの比率が高くなります。在庫回転率が低いと言う事は顧客に販売される事なく在庫として保持する数が多く、管理コストや廃棄リスクを負っていることになります。

固定資産回転率は保有する固定資産が効率的に活用されているかを示しています。この比率が低い場合は保有する固定資産が有効に活用されることなく滞留している疑いがあり、固定資産への投資が過剰である可能性があります。

総資産回転率は企業の資産がどれだけ効率的に売上に結びついているかを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。売上高が総資産の何倍あるかを見ることでその売上に貢献した企業の総資産がどれほど効率的に活用されているかを測ります。(「グラフI-2 経営の効率性2」で解説済みです)

まとめ

原油の需要や環境問題に対する世界の対応など、非常に国際環境に左右される要素が多いので日々の報道や政治情勢を常に注視する必要があるでしょう。

石油の世紀と言われた20世紀を象徴する企業と言っても過言ではないと思います。

もし、復活する時が来るのなら今投資をした投資家は2020年10月時点で10%にも上る配当利回りと株価上昇を手にし大きな利益を挙げられるでしょうが、投資をする時には政治から業界情報まで様々な事を深く調査する必要があります。

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