目次
ウェルズ・ファーゴ【WFC】の基本情報と歴史
ウェルズ・ファーゴはゴールドラッシュにチャンスを見出したアメリカンエキスプレスの創業者でもあるヘンリー・ウェルズとウィリアム・ファーゴによって創業されたアメリカ西部を地盤とする保有資産額米国内3位(2019年10月現在)の金融機関です。アメリカ合衆国内における支店数では1位で、個人向けの業務を中心に行っています。なんと、ウェルズ・ファーゴだけを展示した歴史博物館まであるそうです。
投資銀行業務が収益の中心となっていることの多い大手金融機関としては珍しく、ウェルズ・ファーゴは伝統的な商業銀行を中心とした保守的な経営方針でも有名です。リーマンショック前にバンク・オブ・アメリカがメリルリンチを吸収合併しサブプライムローン証券の不正販売による罰金166億ドルを被るなどして、莫大な痛手を負ったのと裏腹に同じ時期にワコビアをウェルズ・ファーゴは買収していますが、これは業績にいい影響を早期から与えています。また、ウォーレン・バフェット率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは筆頭株主であり2020年に大半を売却するまでウェルズファーゴをポートフォリオの主軸に据えていました。
情報(創業年・上場年と市場・従業員数・決算・S&P格付け
増配年数 | 0年 |
S&P格付け | A- |
従業員数 | 259800人 |
創業年 | 1852年 |
上場年 | 1962年 |
決算 | 12月 |
ウェルズ・ファーゴ【WFC】の株価推移
長期的には右肩上がりで成長を続けてきましたが、2016年9月に顧客の許可なしに口座を開設・クレジットカードの発行を行うなどの不正が発覚し、それをきっかけに保険の二重加入・住宅ローン手数料の不正徴収まで発覚たことで連邦準備制度理事会(FRB)からリスク管理体制を立て直すまで資産の拡大を禁じるという業務改善命令を受けています。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大による95億ドルにも上る貸倒引当金の計上や経営の圧迫も受け2020年の第二四半期決算で24億ドルの赤字となりました。赤字決算を発表するのは2008年以来です。
これらで株価はリーマンショック後の水準となっており、非常に低い数値で推移しています。
信頼回復の途上で起こった、経済環境による利上げ中止、利下げ、新型コロナと非常に厳しい環境となっています。
また、バフェット氏の長期保有銘柄でもありましたがバークシャー・ハサウェイは6月から9月の間にウェルズ・ファーゴの株式を売却しており、その保有比率は7.8%から3.3%に下がりました。
PERとPBR・配当利回りの推移
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
PER | 11.67 | 13.37 | 13.19 | 13.81 | 14.8 |
PBR | 1.54 | 1.7 | 1.61 | 1.57 | 1.62 |
配当利回り | 2.54 | 2.64 | 3.11 | 2.67 | 2.84 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
PER | 10.77 | 13.28 | 73.61 |
PBR | 1.21 | 1.33 | 0.76 |
配当利回り | 3.67 | 5.37 | 1.27 |
PERは「株価収益率」であり、その株式が収益の何倍で取引されているかを表しており一般的には割安か割高かを測る代表的な指標の一つと言われています。
ただし、これは先行きの業績に対する投資家の期待を表している面もあり低PERの株が本来の価値より割安なのではなく、万年割安株となる可能性もある事に留意しましょう。反対に高PERの株が一概に割高と言った訳でもなく、その高いPERは将来の成長によって正当化される可能性があります。(収益が上る=株価収益率は下がる)
また、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が上がることでもPERは低下します。
PBRは「株価純資産倍率」を表し会社が保有する純資産の何倍で株式が取引されているかを表します。1倍を下回れば会社清算時の残余財産分配額を下回る事になるため割安と言えます。
しかし、不人気な業種だったり将来性が乏しいとされる企業は1倍を切ったまま放置される事がある事とその純資産は全てが換金可能とは限らない事に注意しましょう。
これらは、業種別で比較することでより参考になります。
1.3倍ほどで推移していましたが、新型コロナウイルスによる先行き不安が表面化して株価が急落してからは解散価値を下回ることを意味するPBR1倍以下である20ドル台前半で推移しており、非常に割安となっています。
2020年11月3日現在 株価21ドル90セント PBR0.48倍 PER5.37倍
ウェルズ・ファーゴ【WFC】の企業分析・注目ポイントと今後の事業展開
事業構成
事業の構成比率を表しているグラフです。商業銀行部門が過半数を占め、資産運用その他銀行業務で事業をバランスよく行っています。
[adsense]国・地域別売上高比率
ウェルズ・ファーゴはほぼ100%を米国内で営業を行っており収益源も同じです。
商業銀行部門に専念する手堅い経営
ウェルズ・ファーゴは長い歴史を持ち、他のメガバンクが投資銀行部門を手に入れ華やかな収益を上げている近年でもリテール部門のみを有する商業銀行として、手堅い経営に専念しています。
しかし、2020年はこれが仇となりロックダウンなどで経済が停滞した際は貸倒れ及び引当金の増加をカバーできるトレーディング収益が無い事から商業銀行部門の悪化がそのまま業績の悪化となっています。
これを受けて、更なる人員削減や資産運用部門の売却など様々な改革を進めようとしています。
[adsense]ウェルズ・ファーゴ【WFC】の業績データ
※銀行セクターは特殊な財務状況をしています。投資をする上で分かりやすく伝えることに主眼を置いて書いていますので細かい説明は避けますが、一般的な投資対象として見る際は営業収益・純利益・自己資本比率・株主還元状況を主に見ていただくといいでしょう。
売上高と営業利益等の推移
グラフA 売上高と利益
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
売上高 | 66,996 | 84,431 | 79,466 | 84,601 | 82,308 | 81,967 | 83,827 | 87,388 | 87,121 |
純利益 | 12,275 | 12,362 | 15,869 | 18,897 | 21,878 | 23,057 | 22,894 | 21,938 | 22,183 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
売上高 | 86408 | 85063 | 72340 |
純利益 | 22393 | 19549 | 3301 |
営業収益と純利益の推移を示しています。2016年の不正により、連邦準備制度理事会から規制を受けていますがそれでも堅調な数字を維持し続けています。
営業利益率と純利益率の推移
グラフC 営業利益率と純利益率
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
純利益率 | 18.32% | 14.64% | 19.97% | 22.34% | 26.58% | 28.13% | 27.31% | 25.10% | 25.46% |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
純利益率 | 25.92% | 22.98% | 4.56% |
低金利により利鞘が圧迫されたり、人件費など経費の高騰などで利益率は落ち目ですがそれでも20%台を維持しています。
2018年の9月に3年間で全従業員の5~10%に当たる数の人員削減を発表し、2020年の10月には更に人員削減を開始しました。これにより最大、数万人の削減が加速されるとの見方も出ています。
営業利益率・純利益率・売上高成長率の推移
グラフD 成長率
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
売上高成長率 | 26.02% | -5.88% | 6.46% | -2.71% | -0.41% | 2.27% | 4.25% | -0.31% |
純利益成長率 | 0.71% | 28.37% | 19.08% | 15.77% | 5.39% | -0.71% | -4.18% | 1.12% |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
売上高成長率 | -0.82% | -1.56% | -14.96% |
純利益成長率 | 0.95% | -12.70% | -83.11% |
1株の価値(BPS・EPS・SPS・CFPS)の推移
グラフE 1株の価値
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
BPS | 22.37 | 23.98 | 27.47 | 28.84 | 31.55 | 33.51 | 35.57 | 36.87 | |
EPS | 1.75 | 2.21 | 2.82 | 3.36 | 3.89 | 4.1 | 4.12 | 3.99 | 4.1 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
BPS | 38.26 | 41.54 | 38.63 |
EPS | 4.28 | 4.05 | 0.41 |
グラフE2 1株当たりの売上高
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
1株当たりの売上高(SPS) | 16.04 | 14.93 | 15.81 | 15.32 | 15.40 | 16.09 | 17.11 | 17.37 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
1株当たりの売上高(SPS) | 17.86 | 19.22 | 17.50 |
グラフE3 EPSと1株当たりフリーCFの比較
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
1株当たりフリーCF(CFPS) | #DIV/0! | 3.57 | 2.57 | 10.94 | 10.73 | 3.29 | 2.84 | 0.03 | 3.73 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
1株当たりフリーCF(CFPS) | 7.46 | 1.52 | 0.50 |
順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。
規制の中でも自社株買いなどあらゆる手段を駆使して株主にとっては着実な成長を続けてきました。しかし、今回の新型コロナウイルスの影響もあり2020年で大きく減収の見通しです。
CFPSは会計上の利益では無くフリーキャッシュフローの面から数字を出します。基本的にEPSと一致しますが、会計処理の方法が変わったり「純利益は減少したがフリーCFは増加した」場合などにより正確な情報を読み取る事ができます。
キャッシュフローの推移
グラフH キャッシュフロー
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
営業CF | 58,540 | 57,641 | 17,529 | 14,772 | 169 | 18,722 |
投資CF | -139,890 | -153,492 | -128,380 | -107,235 | -122,119 | -5,164 |
財務CF | 93,910 | 93,910 | 110,503 | 92,003 | 123,568 | -10,920 |
フリーCF | 58,540 | 57,641 | 17,529 | 14,772 | 169 | 18,722 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
営業CF | 36,073 | 6,730 | 2,051 |
投資CF | -7,754 | -29,631 | 122,554 |
財務CF | -70,979 | -9,136 | -1,243 |
フリーCF | 36,073 | 6,730 | 2,051 |
営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。
フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。
ここでは主に営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを紹介します。投資や財務コストに関しては設備投資やインスタント・カバレッジ・レシオを参照ください。
グラフS キャッシュフロー比率
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
営業キャッシュフロー成長率 | -34.39 | -27.21 | 328.39 | -1.54 | -69.59 | -15.73 | -98.86 | |
フリー・キャッシュ・フロー成長率 | -34.39 | -27.21 | 328.39 | -1.54 | -69.59 | -15.73 | -98.86 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
営業キャッシュフロー成長率 | 92.68 | -81.34 | -69.52 |
フリー・キャッシュ・フロー成長率 | 92.68 | -81.34 | -69.52 |
営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの成長率と売上高に対する投資の規模を示しています。
投資がどれだけ売上高に結びついているかを知ることができます。
ウェルズ・ファーゴ【WFC】の株主還元の推移
配当金・配当性向・増配率の推移
グラフF 配当と配当性向・増配率
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
配当 | 0.49 | 0.2 | 0.41 | 0.78 | 1.15 | 1.35 | 1.48 | 1.51 | 1.54 |
配当性向(%) | 28.00% | 9.05% | 14.54% | 23.21% | 29.56% | 32.93% | 35.92% | 37.84% | 37.56% |
増配率 | -59% | 105% | 90% | 47% | 17% | 10% | 2% | 2% |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
配当 | 1.64 | 1.92 | 1.22 |
配当性向(%) | 38.32% | 47.41% | 297.56% |
増配率 | 6% | 17% | -36% |
配当金と配当性向の推移を記載しています。安定した事業を背景に健全な配当性向の元で増配を続けてきましたが、2020年の第二四半期決算で赤字となったのを受けて、51セントの四半期配当を11セントに削減する決定をしました。
これにより、高配当ではなくなってしまいましたが景気回復時に再び高配当株として返り咲く事が望まれます。
[adsense]発行済み株式数の推移
グラフL 発行済み株式数
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
発行済み株式数(百万) | 18,772 | 13,665 | 58,540 | 57,641 | 17,529 | 14,772 | 169 | 18,722 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
発行済み株式数(百万) | 36,073 | 6,730 | 2,051 |
自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。
自社株買いに関しても連邦準備制度が配当及び自社株買いに対する規制を発表した事を受けて停止しています。それまでは毎年続けてきており、株主還元への日常的な考えを読み取る事ができます。
[adsense]ウェルズ・ファーゴ【WFC】の財務諸表と財務データ
貸借対照表
グラフO・P 貸借対照表
2010~2017年
貸方
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
現金・短期投資 | 1.28 | 1.48 | 18.06 | 17.81 | 16.42 | 16.03 | 17.05 | 15.39 |
売掛金・売掛債権 | 2.39 | 2.17 | 1.73 | 1.9 | 1.75 | 1.89 | 2.3 | |
棚卸資産 | ||||||||
その他の流動資産 | -1.28 | -3.87 | -20.23 | -19.54 | -18.32 | -17.78 | -18.94 | -17.69 |
有形固定資産 | 0.77 | 0.73 | 0.8 | 0.73 | 0.68 | 0.7 | 0.95 | 0.95 |
無形固定資産 | 3.23 | 3.66 | 3.2 | 3.16 | 2.61 | 2.37 | 2.27 | 2.22 |
その他の長期資産 | -4 | -4.38 | -4.01 | -3.89 | -3.29 | -3.07 | -3.22 | -3.16 |
借方
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
買掛金 | ||||||||
短期借入金 | 4.41 | 3.74 | 1.56 | 1.15 | 0.74 | 0.82 | 0.97 | 0.75 |
未払税金 | ||||||||
未払負債 | 5.56 | 5.92 | 5.39 | 4.58 | 5.11 | 4.11 | 2.96 | 3.62 |
その他の短期負債 | -9.97 | -9.66 | -6.95 | -5.74 | -5.85 | -4.92 | -3.93 | -4.37 |
長期借入金 | 12.49 | 9.55 | 8.96 | 10.02 | 10.91 | 11.17 | 13.22 | 11.53 |
その他の長期負債 | -12.49 | -9.55 | -8.96 | -10.02 | -10.91 | -11.17 | -13.22 | -11.53 |
2018年〜
貸方
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
現金・短期投資 | 23.38 | 21 | 24.81 |
売掛金・売掛債権 | 2.13 | 1.8 | 3.01 |
棚卸資産 | |||
その他の流動資産 | -25.51 | -22.8 | -27.81 |
有形固定資産 | 0.95 | 1.15 | 1.05 |
無形固定資産 | 2.27 | 2.06 | 1.75 |
その他の長期資産 | -3.22 | -3.22 | -2.8 |
借方
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
買掛金 | |||
短期借入金 | 0.7 | 0.63 | 0.65 |
未払税金 | |||
未払負債 | 3.66 | 3.9 | 3.91 |
その他の短期負債 | -4.36 | -4.53 | -4.56 |
長期借入金 | 12.08 | 11.84 | 10.9 |
その他の長期負債 | -12.08 | -11.84 | -10.9 |
それぞれが貸方(総資産)、借方(負債と純資産)を表します。貸借対照表の各項目を構成比率で表しています。企業の大まかな財務状況の推移が一目でわかります。
グラフR 損益計算書(費用と利益)
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
売上原価 | |||||||||||
売上総利益 | |||||||||||
販売費及び一般管理費 | 32.23 | 36.41 | 35.65 | 37.78 | 37.66 | 37.76 | 37.83 | 39.78 | 39.5 | 45.28 | 48.95 |
研究開発費 | |||||||||||
その他 | -32.23 | -36.41 | -35.65 | -37.78 | -37.66 | -37.76 | -37.83 | -39.78 | -39.5 | -45.28 | -48.95 |
営業利益 | |||||||||||
資産運用利益 | 22.5 | 29.77 | 33.65 | 39.64 | 41.38 | 40.13 | 36.76 | 31.42 | 33.03 | 28.45 | 0.8 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
売上原価 | |||
売上総利益 | |||
販売費及び一般管理費 | 39.5 | 45.28 | 48.95 |
研究開発費 | |||
その他 | -39.5 | -45.28 | -48.95 |
営業利益 | |||
資産運用利益 | 33.03 | 28.45 | 0.8 |
業績の蘭で紹介済みの収益に対応した損益計算書の費用項目と残った利益を表記しています。
財務状態と健全性
グラフG 財務データ
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
有利子負債比率(%) | 16.9 | 13.29 | 10.52 | 11.17 | 11.65 | 11.99 | 14.19 | 12.28 |
自己資本比率(%) | 10.06 | 10.69 | 11.08 | 11.15 | 10.93 | 10.8 | 10.35 | 10.61 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
有利子負債比率(%) | 12.78 | 12.47 | 11.55 |
自己資本比率(%) | 10.35 | 9.71 | 9.46 |
ここでは、有利子負債比率・自己資本比率を紹介します。この自己資本比率と有利子負債比率は企業の健全性を大きく表しているので注目しましょう。
グラフQ 財務比率
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
財務レバレッジ | 10.69 | 10.2 | 9.84 | 9.92 | 10.21 | 10.47 | 11.03 | 10.75 |
負債比率 | 1.33 | 0.97 | 0.88 | 0.99 | 1.11 | 1.17 | 1.46 | 1.24 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
財務レバレッジ | 10.96 | 11.64 | 11.94 |
負債比率 | 1.32 | 1.37 | 1.3 |
流動比率、当座比率、財務レバレッジ、負債比率を示しています。
流動比率は流動負債に対する流動資産の割合で計算され、短期的な支払い能力を示しています。当座比率は、流動資産の中で「現金預金」「受取手形」「売掛金」などの現金化しやすい資産だけで計算される、流動比率よりも厳しい基準で見た短期的支払い能力の指標です。
財務レバレッジ銀行借入や社債発行などを活用して自己資本を梃子(レバレッジ)にどれだけ負債を活用しているかを示しています。後述される自己資本比率の逆数関係にあり、負債をどのくらい有効活用しているかを表すため、この倍率が高くなると、負債増加によるリスクが顕在化するため注意する必要があります。
ROE・ROA・営業キャッシュフローマージンの推移
グラフI 経営の効率性
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
ROE(自己資本利益率) | 10.53 | 12.19 | 13.16 | 13.99 | 13.68 | 12.78 | 11.78 | 11.53 |
ROA(総資産利益率) | 0.93 | 1.17 | 1.32 | 1.42 | 1.36 | 1.24 | 1.1 | 1.06 |
営業CFM | 22.23% | 17.20% | 69.20% | 70.03% | 21.39% | 17.62% | 0.19% | 21.49% |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
ROE(自己資本利益率) | 11.67 | 10.6 | 1.04 |
ROA(総資産利益率) | 1.08 | 0.94 | 0.09 |
営業CFM | 41.75% | 7.91% | 2.84% |
こちらは経営の効率性を示すROEとROA、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。
ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。
ROAは総資産利益率を表しており、会社が有する資産を活用してどれほどの利益を上げる事ができているかを表しています。
営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。
一概に言えるものではありませんが、15%を超えていれば良好と言えるでしょう。
これらの指数はいずれも基本的には安定しています。成長路線に入れるように早く信頼回復を成し遂げ、連邦準備制度理事会による規制が緩和される事を願う限りです。
グラフI-2 経営の効率性2
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
資産回転率 | 0.07 | 0.06 | 0.06 | 0.06 | 0.05 | 0.05 | 0.05 | 0.04 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
資産回転率 | 0.04 | 0.04 | 0.04 |
こちらでは投下資本利益率(ROIC)、インスタント・カバレッジ・レシオ、資産回転率の推移を示すグラフを掲載しています。
投下資本利益率は自己資本や有利子負債も含めた事業活動のために行われた投資がどれだけの利益を生み出したかを数字にしています。
インスタント・カバレッジ・レシオは、会社が営業活動により生み出す利益(基本的に営業利益)と金融収益(受取利息と受取配当金が主に該当)が、毎年の支払利息をどの程度上回っているかを示しており、 企業の財務健全性を示す数値であり、この数値が高いほど金利の支払いなどに関して財務的に余裕があります。反対に比率が低いと営業収益のうち多くの割合が支払利息に当てられる形で負債元本が減らず、財務上厳しい状態にあります。
総資産回転率は企業の資産が効率的に売上に結びついていることを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。
財務効率と回転率等
ここでは財務効率などに関連した数値を解説していきます。
グラフU 財務効率
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
財務レバレッジ | 10.69 | 10.2 | 9.84 | 9.92 | 10.21 | 10.47 | 11.03 | 10.75 |
負債比率 | 1.33 | 0.97 | 0.88 | 0.99 | 1.11 | 1.17 | 1.46 | 1.24 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
財務レバレッジ | 10.96 | 11.64 | 11.94 |
負債比率 | 1.32 | 1.37 | 1.3 |
ここでは、売掛金回収期間と在庫日数、回収期間、現金循環日数を紹介していきます。
売掛金回収期間は売掛金がどれくらいの期間をかけて回収されているかを日数で表しており、その日数が短いほど現金化までにかかる期間が短く資金を効率的に活用できていることになります。
在庫日数は在庫として滞留している日数を表しています。在庫として保有している商品の総数が売上の何日分と言い換えることも出来、この日数が少ないほど在庫量は適正な数にコントロールできていると考える事ができます。
回収期間は投資金額が投資によって生まれるキャッシュフローで計算して何年で回収することが出来ているかを表します。設備投資に関する収益性計算には様々な方法が存在しますが回収期間を指標とした場合、この期間が短いほど安全に効率的な投資ができていると考える事ができます。
現金循環日数は「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」とも言われ、企業が商品を仕入れるために支出を行なってから売上及び売上債権の回収によって現金を得るまでの期間を指します。この日数が長いほど、手元の現金が減っている期間が長い事になり資金繰りの懸念が現れるため、経営状態を表す重要な指標とも言えます。
グラフV 財務効率 回転率
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
固定資産回転率 | 8.29 | 8.29 | 8.07 | 7.27 | 7.23 | 7 | 5.65 | 4.72 |
資産回転率 | 0.07 | 0.06 | 0.06 | 0.06 | 0.05 | 0.05 | 0.05 | 0.04 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
固定資産回転率 | 4.74 | 4.23 | 3.38 |
資産回転率 | 0.04 | 0.04 | 0.04 |
ここでは、回転率を中心に解説します。売上債権回転率、棚卸資産回転率 固定資産回転率 資産回転率を紹介しています。
売上債権回転率は会社が有する売上債権の回収がどのくらいの期間で行われているかを示す指標で、この数字が低いほど債券の回収に時間がかかっており、資金の効率的な活用が妨げられている事になります。
棚卸資産回転率は在庫回転率と言われることもあり、仕入から売上に至るまでの在庫期間によって適切な在庫量などの判断をするための指標であり、在庫を減らしている会社はこの比率が高くなります。在庫回転率が低いと言う事は顧客に販売される事なく在庫として保持する数が多く、管理コストや廃棄リスクを負っていることになります。
固定資産回転率は保有する固定資産が効率的に活用されているかを示しています。この比率が低い場合は保有する固定資産が有効に活用されることなく滞留している疑いがあり、固定資産への投資が過剰である可能性があります。
総資産回転率は企業の資産がどれだけ効率的に売上に結びついているかを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。売上高が総資産の何倍あるかを見ることでその売上に貢献した企業の総資産がどれほど効率的に活用されているかを測ります。(「グラフI-2 経営の効率性2」で解説済みです)
まとめ
バフェットも売り、株価は2010年来の水準にまで落ち込みました。金利と経済の状態が鍵を握っているでしょう。
消費者と最も近い事業を行っており、消費者の動向に注目が欠かせません。