AT&T【T】の株価・銘柄分析と今後 通信最大手であり高配当の代表格

AT&T【T】の基本情報と歴史

AT&Tはアメリカ合衆国の大手情報通信会社です。電話・無線・データ通信などに加え、インターネット回線、衛星放送・電話帳広告など情報通信に関する広範な事業を手掛けています。かつては電話事業を独占していましたが80年代に地域電話会社を分社化しました。歴史上、非常に長い間複数回に渡って司法省から訴訟を起こされています。直近では2018年のワーナー買収でも毎度のように反トラスト訴訟を起こされ2019年に司法省が上訴を断念する形で決着しています。

1983年に分社化したSBCコミュニケーションズから2005年に買収され、SBCコミュニケーションズ側が社名変更したことにより現AT&Tは誕生していますが、圧倒的な知名度、ブランド力を誇るAT&Tの名前、認知度を利用したい思惑に加えてニューヨーク証券取引所における一文字ティッカーである(T)を残したいという考えが当時の経営陣にあったと言われています。

高配当銘柄の代表格ともいえ連続増配株であります。以前はバフェット銘柄の一つでした。売却した理由も、継続して成長する企業ではない点で投資方針に合わないことが理由であったため会社の見通しそのものに対する疑念ではありませんでした。

ブロードバンド回線を幅広く担っており、携帯電話も含めた通信網の一環として極めて重要なインフラを担っている企業だけあって安定性は抜群です。衛星放送最大手であったディレクTVを2016年に買収、そしてワーナーメディアを2018年に買収しさらにコンテンツ事業拡大を目指しています。

企業情報(創業年・上場年と市場・従業員数・決算・S&P格付け

増配年数 35年
S&P格付け BBB
従業員数 247800人
創業年 1983年
上場年 1983年
決算 12月

AT&T【T】の株価推移


AT&Tの株価(2019年10月28日現在)です。株価は21世紀初頭のインターネットバブル期の最高値を突破できていませんが基本的に20~40ドルのレンジ相場と言った感じです。配当金を狙って投資する株としては十分すぎるぐらいのものだと思います。

2020年に5Gサービスの展開進み、ワーナーメディアの買収により2019年は増益を達成するなど比較的好調な状況です。

買収を重ねた事で有利子負債の額は世界でも有数の企業のなり、負債の圧縮が当面の課題となりそうです。

PERとPBRの推移

PERは「株価収益率」であり、その株式が収益の何倍で取引されているかを表しており一般的には割安か割高かを測る代表的な指標の一つと言われています。

ただし、これは先行きの業績に対する投資家の期待を表している面もあり低PERの株が本来の価値より割安なのではなく、万年割安株となる可能性もある事に留意しましょう。反対に高PERの株が一概に割高と言った訳でもなく、その高いPERは将来の成長によって正当化される可能性があります。(収益が上る=株価収益率は下がる)

また、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が上がることでもPERは低下します。

PBRは「株価純資産倍率」を表し会社が保有する純資産の何倍で株式が取引されているかを表します。1倍を下回れば会社清算時の残余財産分配額を下回る事になるため割安と言えます。

しかし、不人気な業種だったり将来性が乏しいとされる企業は1倍を切ったまま放置される事がある事とその純資産は全てが換金可能とは限らない事に注意しましょう。

これらは、業種別で比較することでより参考になります。

成長があまり期待されていないためにPERは比較的割安気味です。配当狙いにはちょうどいいポイントと言えるでしょう。

の企業分析・注目ポイントと今後の事業展開

事業構成

事業の構成比率を表しているグラフです。通信関連事業が非常に大きく、通信回線と配信関連で60%程度を占めています。

メディア事業を今後大きく成長させようと経営陣は取り組んでいます。

国・地域別売上高比率

その企業の売上高が地球上のどこで生み出されたものなのかを表しています。90%近くをアメリカで稼いでいますが、残りは意外と世界中に満遍なく広がっています。

近年力を入れるストリーミング配信

携帯キャリアとして米国内のシェア1位ですが、このIT化の時代で総合通信企業であるだけでは限界を感じ、ディレクTVやワーナーの買収を通じて近年トレンド化しているストリーミング配信に参入しようと力を入れています。

そのために長期債務が増加したり、財務上の懸念が取り沙汰されたりはしていますが5Gの新たな可能性といった追い風になり得る要素もあります。

通信回線に無限の可能性があり今後様々なビジネスに活用されていくとなれば通信会社の役割は大きくなるでしょう。

通信網を生かし広範なコンテンツの提供者を目指している

AT&T(T)はインターネット・通信事業に専念するベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に対して自社通信網を活用して広範なコンテンツ提供者になることを目指しており新規事業の開拓に熱心です。ここ最近でM&Aを繰り返しており、2014年にはディレクTVを買収し、さらに2016年10月にはタイムワーナーを買収しています。

しかし、この分野にはネットフリックス(NFLX)や、ウォルト・ディズニー(DIS)、Amazon(AMAZN)など強力な競合相手がおり現在非常に苦戦しています。また、買収に伴う多額の負債も残されており今後を注目していきたいところです。

通信事業者としての競合相手であるベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は米ヤフーの買収などインターネットや5Gをはじめとした通信網の整備に多額の投資をしています。

5Gに関しては2018年にストレート・パス・コミュニケーションズの買収でいったん合意したものの更に好条件を提示したベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に敗れるなど後れを取っているのが現状です。

アクティビスト(モノ言う株主)エリオットの戦略見直し要求

投資家ポール・シンガー氏が率いる投資ファンド運営会社「エリオット・マネジメント」は2019年9月に32億ドル相当の持ち分を開示しました。AT&T(T)に対して資産売却や徹底的なコスト削減を行い業績を上向かせることで株価を50%上げるという計画を記した書簡を取締役会に送付しました。

計画では、メキシコでの携帯電話事業やディレクTVに加え固定電話事業の一部などの資産売却を検討するように要求し一部事業からの撤退を通じた経営効率の改善、大規模買収の打ち止めを求めました。

その後の7-9月期決算で投資会社エリオットへの対応を示し、役員席を2席追加、会長とCEOの役割を分離する計画も明らかにしたほか、当面の大型買収は実施しない旨の発表を行いました。こうした、一連の流れによってAT&Tの株価は一時上昇しました。

AT&T【T】の財務分析

直近5年をグラフにしてそれより前のデータがあるとより理解が深まると思われるものはグラフの外で更に5年ほど前まで載せています。

売上高と営業利益等の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
売上高 122,513 124,280 126,723 127,434 128,752 132,447
営業利益 21,000 19,658 16,309 12,997 30,479 13,866

 売上高と営業利益等、損益計算書項目の推移を示しています。

今の時代において、誰もが持つ携帯電話キャリアだけあって売上高は安定しています。人口の増加や利用者数の増加、サービスの追加などによって将来的に緩やかな伸びが望めそうです。

営業利益と純利益の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
営業利益 21,000 19,658 16,309 12,997 30,479 13,866
純利益 12,138 19,864 3,944 7,264 18,249 9,960

営業利益は上下をしながら少し伸びています。

営業利益率と純利益率の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
営業利益率 17.14% 15.82% 12.87% 10.20% 23.67% 10.47%
純利益率 9.91% 15.98% 3.11% 5.70% 14.17% 7.52%

営業利益率はかなり安定して15%前後となっています。

BPS・EPS・SPSの推移

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
EPS 2.37 2.1 4.77 2.85 1.89

過去のデータ

2009 2010 2011 2012 2013 2014
EPS 2.05 3.35 0.66 1.25 3.39 1.19

順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。

一株当たりの価値も完全に横ばいと言っていいでしょう。

貸借対照表

貸借対照表の概略です。ここでは特に流動比率を見ると良いでしょう。流動資産が流動負債の額を上回っていれば短期的な債務を早期に完済する事が出来ると見込まれるからです。しかし、流動資産にも即時換金できるものばかりではないため内容が重要な事に注意しましょう。流動比率200%超えや当座(現金同等物)比率100%超えがより厳密に見た安全性の指標とみなされています。

こちらもほぼ横ばいで推移していますが、2018年に買収によって規模が大きくなりその分長期負債が増えている点は気になります。

キャッシュフローの推移

2012 2013 2014
営業CF 39,176 34,796 31,338
フリーCF 12,577 21,591 3,719

営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。

フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。

キャッシュフローは良好な数字であり、必要かつ適度な投資資金を捻出した上でフリーキャッシュフローを創出することができています。高配当連続増配の源泉であることは間違い無いでしょう。

ROE・自己資本比率・営業キャッシュフローマージンの推移

こちらは経営の効率性を示すROE、健全性を示すROE、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。

ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。

自己資本比率はその名の通り総資産に占める自己資本の割合で計算されます。負債が増えて少し不安がありますが、思いの外自己資本比率は低くなく、重大な問題になるほどでは無いと思います。

営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。

15%を超えていれば良好と言われる中で25%前後で安定しています。これはキャッシュフローの面で見て中々に魅力的な数値です。

設備投資額と研究開発費の推移

設備投資の多い会社は成長企業と見られ、将来が期待されている事が多いです。中には維持費的なものもあるので多額の設備投資が何を目的にしているかは見極める必要があります。

基地局の建設と維持の他に、通信回線の建設と整備、また最近は5G関連の開発と整備費用があり設備投資額は増加しています。

AT&T【T】の株主還元

配当と配当性向の推移

 配当金と配当性向の推移を記載しています。毎年、微量ながら増配を続けており35年の増配を達成しました。

しかし、配当性向が高めで90~100前後に行っている点は長期債務の増加と合わせて不安要因です。

発行済み株式数の推移

 自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。

ワーナー買収の年である2018年に大きく発行済み株式数は増加しています。その前も自社株買いを積極的に行っている形跡は見られず、配当に期待した方が良いでしょう。

まとめ

日本で言うdocomoのような巨大通信キャリアです。通信回線の販売整備なのならず、時代とともに新たなビジネスに参入し時代にあったチャンスをものにしようとする姿勢は素晴らしいと思います。

携帯回線で1位のシェアを持ち、それを背景にしたキャッシュフローで35年に渡り増配を続けているだけに配当金を目的にした投資対象としてはかなり有力です。

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