4月30日にオランダ・イギリスに本社を置く石油メジャー、ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS.B)は四半期配当を0.47ドルから0.16ドルに減配する事を取締役会で決めました。
同社が配当を減らすのは第二次世界大戦以降初で約80年ぶりとなります。
これを受けてチャド・ホリデー会長は資料で、「経済的に不確実な時期が長期化するリスクや商品安、ボラティリティーの高まり、不透明な需要見通しを考慮すれば、現在の配当水準を維持するのは賢明ではないと取締役会は考えている」と説明しベン・ファン・バーデンCEOは「マクロ経済の見通しの継続的な悪化と、中長期的な大きな不確実性」「私たちの回復力を強化し、バランスシートの強みを支え、シェルの長期的な価値創造をサポートする」と表明しました。
第1四半期の純利益は純利益は28億6000万ドルと22億9000万ドルとされたアナリスト予想を上回りました。
この配当削減を受けて、株価は約13%下落しました。他の4つの石油メジャーであるエクソン・モービル(XOM)、シェブロン(CVX)、Total(TOT)はそれぞれが全て配当を維持する事を表明しています。
[adsense]しかし、いずれも2020年の設備投資や自社株買いを停止・削減するなどコスト削減に必死に取り組んでいます。また、これらの石油メジャーは耐えている方で既に多くの石油・ガス会社は既に配当を削減、又は完全に停止しています。
大きな減配で言えばバフェット銘柄でもあるエネルギー大手、オキシデンタル・ペトロリアムが86%の減配を発表したことでしょう。減配直前の配当利回りは約25%になるまで下落していました。
今回の減配は原油価格下落に伴うエネルギー企業といった事情がありますが、配当利回りに固執する投資家に警告を与える形にもなったことでしょう。
約束されていない配当金でセミリタイアを目指すことで不安定な事態に直面する可能性があることをそれらの人たちは身をもって実感したことと思われます。
[adsense]元々、配当金は受け取る度に課税されるため再投資をするにしてもそのまま可処分所得とするにも再投資する際の自由に使える資金を創出するという点以外において不利です。
成長しつつある、連続増配株は優良な選択肢だと思いますが、値上がり益を捨てて高配当株に投資することが目的となってしまっていると投資のリターンを最大化できない恐れは強く、減配と共に狼狽売りをするなんてもっての他ともいえる結果を招きかねません。
株価の下支え要因になる配当利回りですが、その配当は約束されたものではない事をしっかり認識しておきましょう。売却、配当共に得られるものは同じです。
配当株そのものを否定するわけではありません。減配の可能性が少ない銘柄を選んだり、購入する時点であらゆるリスクを想定して、リスクを許容できるなら間違った選択肢ではありません。
私も自由に使える現金を生み出すために高配当銘柄への投資も行っています。