フィリップモリス【PM】の株価・銘柄分析と今後iQOSを販売する高配当の世界的タバコ企業

フィリップモリス【PM】の基本情報と歴史

フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)は世界有数のたばこ会社であり、訴訟リスク回避のために元々同じ会社だった2008年にアルトリア・グループ(MO)の国際部門が分離して誕生しました。

米国内でのたばこ事業が抱える訴訟リスクを切り離すためにアルトリアグループ(MO)からフィリップモリス(PM)が分社化しました。そのため、フィリップモリスは米国事業を持っておらず、全てが米国外での事業になります。

マールボロを筆頭に世界トップ15銘柄中6銘柄を保有するなど、強力なブランド力を維持しています。非加熱式たばこであるiQOSも好調です。また、後述のように将来的には紙巻きたばこから撤退する予定です。

なお、米国内での事業がほとんど無いことから配当金を受け取るときに米国での源泉徴収10%がありません。よって日米での二重課税がなく配当投資家にとっては良いポイントの一つでしょう。

アルトリアグループと同じく、配当再投資により高いリターンを得ることができたシーゲル銘柄の筆頭格です。高配当で事業の参入障壁もあり、安定したキャッシュフローが見込めるなどまさに配当投資家のマネーマシン言っても過言ではないでしょう。

企業情報(創業年・上場年と市場・従業員数・決算・S&P格付け

増配年数 14年
S&P格付け A
従業員数 73500人
創業年 1987年
上場年 2008年
決算 12月

フィリップモリス【PM】の株価推移


右肩上がりを続けてきましたが、近年タバコに対する逆風から下落してきています。

紙巻きたばこ撤退後にiQOSがどれだけ市場でシェアを取ることができるか、紙巻きたばこ市場そのものがどれだけ発展していくか。

など、様々なポイントがあります。iQOSや電子タバコそのものの環境によっては今後大きく回復する可能性があるでしょう。

PERとPBRの推移

PERは「株価収益率」であり、その株式が収益の何倍で取引されているかを表しており一般的には割安か割高かを測る代表的な指標の一つと言われています。

ただし、これは先行きの業績に対する投資家の期待を表している面もあり低PERの株が本来の価値より割安なのではなく、万年割安株となる可能性もある事に留意しましょう。反対に高PERの株が一概に割高と言った訳でもなく、その高いPERは将来の成長によって正当化される可能性があります。(収益が上る=株価収益率は下がる)

また、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が上がることでもPERは低下します。

PBRは「株価純資産倍率」を表し会社が保有する純資産の何倍で株式が取引されているかを表します。1倍を下回れば会社清算時の残余財産分配額を下回る事になるため割安と言えます。

しかし、不人気な業種だったり将来性が乏しいとされる企業は1倍を切ったまま放置される事がある事とその純資産は全てが換金可能とは限らない事に注意しましょう。

これらは、業種別で比較することでより参考になります。

PBRはマイナスのため未表記です。PERもタバコへの逆風やESG投資などの煽りを受けて20倍以下と米国の連続増配株の中では比較的割安に置かれています。

フィリップモリス【PM】の企業分析・注目ポイントと今後の事業展開

事業構成

事業の構成比率を表しているグラフです。タバコ関連事業が100%を占めています。ワインや合法大麻など様々な分野に挑戦し始めているアルトリアとは違った路線をとっています。

国・地域別売上高比率

その企業の売上高が地球上のどこで生み出されたものなのかを表しています。売上は全て米国外で発生しており、米国での訴訟から守られています。

そして、世界全体で売上がうまく分散されています。

逆風に晒されるタバコ業界

※以下は当ブログのアルトリア・グループ【MO】の記事にも記載がある内容です。同業者の事であり、有益な情報と考えているためこちらにも記載します。

近年タバコ株は、ESG、健康志向、健康志向に伴うタバコ規制で売上本数も流入資金も共に下落しています。

ESGによって機関投資家がタバコ株や燃料系企業を投資対象から外し始めたり、健康志向によって禁煙・嫌煙が増加し喫煙者はタバコを吸う場所が限られたり増税を強いられたりしています。

そして、その健康志向により電子タバコなど派生商品への規制が進んだり広告も規制されてしまったりしています。

しかし、タバコは依存性が強くそう簡単にやめられるものでなければなくなりもしません。よって値上げによって売上金額を維持した上で本数が減っているので原価は下がり、寧ろ広告が規制されたことで広告費が浮き営業利益率向上の手助けになっている皮肉な一面もあります。

タバコは「罪の株」とも呼ばれ投資を避ける著名投資家もいます。バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットは過去にタバコ株を

「It costs a penny to make. Sell it for a dollar. It’s addictive. And there’s fantastic brand loyalty.」

訳 「作るのに1セントかかる。 1ドルで売る。 中毒性があります。 そして、素晴らしいブランドロイヤルティがあります。」

と絶賛していますが、投資はしておらず過去にタバコ業界への投資を断ってもいます。その理由は

I’m wealthy enough where I don’t need to own a tobacco company and deal with the consequences of public ownership.

訳 私はたばこ会社を所有し、公有の結果に対処する必要がないほど裕福です。

この意図はおそらく、タバコが及ぼす結果に社会的責任を負う事を示しているのだと私は考えています。

引用元は最後の関連情報に掲載しています。

電子タバコの成長と紙巻きたばこ撤退

フィリップ・モリス・インターナショナル【PM】は既に紙巻きたばこ事業から将来的に撤退することを明言しています。

これによって、近年急速に成長する電子タバコ市場に注力しようとしています。有害成分を大きく減らした従来のタバコとは全く違った物になると同社は発表しています。

フィリップモリス【PM】の財務分析

直近5年をグラフにしてそれより前のデータがあるとより理解が深まると思われるものはグラフの外で更に5年ほど前まで載せています。

売上高と営業利益等の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
売上高 25,035 27,208 31,097 31,377 31,217 29,767
営業利益 10,069 11,247 13,451 13,946 13,824 12,237

 売上高と営業利益等、損益計算書項目の推移を示しています。販売数は減少しても値上げなどにより売上高はゆっくりと増加を続けています。今後もこの成長を維持しより加速させるために電子タバコ市場の開拓に励んでいます。

営業利益と純利益の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
営業利益 10,069 11,247 13,451 13,946 13,824 12,237
純利益 6,342 7,259 8,591 12,987 8,576 7,493

営業利益と純利益も売上高と概ね一致しています。2019年は出荷数の減少や相次ぐ各国での訴訟関連費用があり、現役となりました。

iQOSが将来的にどれだけ市場を握れるかが鍵となります。

営業利益率と純利益率の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
営業利益率 40.22% 41.34% 43.25% 44.45% 44.28% 41.11%
純利益率 25.33% 26.68% 27.63% 41.39% 27.47% 25.17%

栄養利益率自体は15%前後と十分な水準で推移しています。

BPS・EPS・SPSの推移

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
EPS 4.42 4.48 3.88 5.08 4.61

過去のデータ

2009 2010 2011 2012 2013 2014
EPS 3.24 3.92 4.85 5.17 5.26 4.76

 順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。

EPSは紙巻きたばこの衰退などで近年横ばいと言った感じで今後の電子タバコ市場などの成長に大きな影響を受けるでしょう。

BPSは自社株買いをし続けた末にマイナスとなった形です。マクドナルドやスターバックスも同じような形となっていますが、これは自社株買い(自己株式は資産の控除項目)で債務超過になるほど株主還元を行っても資金繰りに問題がないと言った要因から行われているものであるため、基本的に問題はないとみて良いでしょう。

貸借対照表

貸借対照表の概略です。ここでは特に流動比率を見ると良いでしょう。流動資産が流動負債の額を上回っていれば短期的な債務を早期に完済する事が出来ると見込まれるからです。しかし、流動資産にも即時換金できるものばかりではないため内容が重要な事に注意しましょう。流動比率200%超えや当座(現金同等物)比率100%超えがより厳密に見た安全性の指標とみなされています。

前述のように自社株買いの末に債務超過です。しかし、事業に問題はありません。

キャッシュフローの推移

2012 2013 2014
営業CF 9,421 10,135 7,739
投資CF -992 -2,680 -996
フリーCF 12,225 13,422 6,933

営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。

フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。

キャッシュフローは成長が続いています。投資額が少なく済み、微増に止まる現状でも他社に追い抜かれたりする恐れが低く事業は安全であるところがタバコ業界の優位性でしょう。

ROE・自己資本比率・営業キャッシュフローマージンの推移

 こちらは経営の効率性を示すROE、健全性を示す自己資本比率、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。

ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。債務超過なのでROEはありません。

 自己資本比率はその名の通り総資産に占める自己資本の割合で計算されます。前述のようにマイナスです。

 営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。

 一概に言えるものではありませんが、15%を超えていれば良好と言えるでしょう。33%台と極めて優れた数字であり、キャッシュフロー自体も健全さを維持しており素晴らしいものと言えます。

設備投資額の推移

設備投資の多い会社は成長企業と見られ、将来が期待されている事が多いです。中には維持費的なものもあるので多額の設備投資が何を目的にしているかは見極める必要があります。

タバコ業界の特徴の一つに設備投資の少なさがあります。少ない設備投資で同じものを作り続けて高収益を上げていけます。

フィリップモリス【PM】の株主還元(配当と配当性向・増配率)

配当と配当性向・増配率の推移

2009 2010 2011 2012 2013 2014
配当 2.24 2.44 2.82 3.24 3.58 3.88
配当性向(%) 69.14% 62.24% 58.14% 62.67% 68.06% 81.51%

 配当金と配当性向の推移を記載しています。増配を続けている企業であり、株主還元に非常に熱心です。しかし、近年の配当性向が極めて高い状態にあるのが不安要因の一つではあります。

発行済み株式数の推移

 自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。

債務超過になるまで自社株買いをした後はゆっくりと微増しています。従来の上限値を超えている状態だと考えればここぐらいは問題にならないでしょう。

まとめ

今後、急速に成長する電子タバコ市場と紙巻きたばこの衰退。この機会に事業の転換を行おうとしている同社ですが将来タバコがどのような形になっているかは誰にもわかりません。

規制・税金・社会の声様々な変化があるのでしょうか? 私は喫煙者ではありませんが、友人たちに多くの喫煙者がいます。注意深く見守っていきたいです。

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こちらは、バフェットがタバコ株に投資をしなかったエピソードとその考察がなされた記事になります。

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フィリップモリスによる紙巻きたばこ撤退が表明された時です。

「フィリップ モリス」紙巻きたばこから撤退表明

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