ファイザー【PFE】の株価・銘柄分析と今後 世界有数の製薬会社

ファイザー【PFE】の基本情報と歴史

1849年にチャールズ・ファイザーらによってニューヨークで創業されたファイザーは世界最大の製薬会社です。ダウ平均の構成銘柄でもあり、バイオ・ヘルスケア業界をけん引する企業です。ファイザー本体の代表的な製品と言えば1998年に発売されたバイアグラです。南北戦争時の北軍の医薬品はほとんどファイザーが製造したという歴史ある企業です。積極的な買収を繰り返して巨大な企業になった経緯もあり、有力な新薬を開発した会社ごと買収して収益を上げる手法は「ファイザーモデル」とも呼ばれ、1990年代から進んだ製薬業界再編の筆頭格であります。

ファイザーが果たした役割に、第二次世界大戦時のペニシリン大量生産、 1949年の抗生物質テラマイシン、1990年代のバイアグラ開発など様々な薬と人類の健康の歴史に関わってきました。

2004年から2020年の8月まではNYダウ30種平均を構成する銘柄の一つでもありました。

Working for a healthier world (より健康な世界の実現のために)」を世界共通のコーポレートスローガンに掲げています。

また、新薬を保有する企業に対する大型買収を繰り返して規模を拡大してきた同社ですが、2019年7月に特許切れ医薬品事業を分離して、後発医薬品(ジェネリック後発医薬品)大手の米マイランと経営統合させることを発表しました。

企業情報(創業年・上場年と市場・従業員数・決算・S&P格付け

増配年数 11年
S&P格付け A+
従業員数 88300人
創業年 1849年
上場年 1944年
決算 12月

 

ファイザー【PFE】の株価推移


買収によらないファイザー本体からの画期的な新薬は1998年のバイアグラ以来登場しておらず、稼ぎ頭であるリピトールが2011年に特許が切れ、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の登場によりブロックバスターが無くなり、経営体制を見直さざるを得ない状況となっているのが現状で、近年は回復基調であるものの株価も低迷しています。

研究開発費に使われる毎年9000億円近くがキャッシュフローを圧迫してると思われる面もあり、新薬を開発できるかどうかにかかっているといえます。

この数年で経営体制見直しの一環として、「画期的新薬・低利益の特許切れ医薬品・大衆薬」に分けて事業分割の計画を進めており前述の後発医薬品事業のマイランとの統合はその一環です。

PERとPBR・配当利回りの推移

グラフK バリュエーション

 

 

 

PERは「株価収益率」であり、その株式が収益の何倍で取引されているかを表しており一般的には割安か割高かを測る代表的な指標の一つと言われています。

ただし、これは先行きの業績に対する投資家の期待を表している面もあり低PERの株が本来の価値より割安なのではなく、万年割安株となる可能性もある事に留意しましょう。反対に高PERの株が一概に割高と言った訳でもなく、その高いPERは将来の成長によって正当化される可能性があります。(収益が上る=株価収益率は下がる)

また、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が上がることでもPERは低下します。

PBRは「株価純資産倍率」を表し会社が保有する純資産の何倍で株式が取引されているかを表します。1倍を下回れば会社清算時の残余財産分配額を下回る事になるため割安と言えます。

しかし、不人気な業種だったり将来性が乏しいとされる企業は1倍を切ったまま放置される事がある事とその純資産は全てが換金可能とは限らない事に注意しましょう。

これらは、業種別で比較することでより参考になります。

近年の株価低迷を受けてPERは下落しています。

ファイザー【PFE】の決算情報

ファイザー【PFE】第1四半期決算 2021年5月4日
実績 市場予想 前年同月比 備考
売上高 145.82億ドル 136.18億ドル 21%増加
インプラス売上高 12.5億ドル 13.4億ドル
エリキューナス売上高 16.4億ドル 13.9億ドル
プレベナー売上高 12.8億ドル 14.7億ドル
ゼルヤンツ売上高 5.38億ドル 5.24億ドル
EPS 93セント 78セント
純利益 52.62億ドル 43.47億ドル 17%増加
営業利益 46.8億ドル 47.01億ドル 14%増加

売上高、EPSは共に予想を上回りました。特に新型コロナワクチンの売上高が34億6200万ドルとなり、売上高の24%となりました。

今後の売上高予想も引き上げられ、更なる収益増加が見込まれます。

新型コロナワクチンの2021年12月期の通期での売上高見通しを従来の150億ドルから約260億ドルと大幅に引き上げました。

ファイザー【PFE】の企業分析・注目ポイントと今後の事業展開

事業構成

グラフM 事業構成

事業の構成比率を表しているグラフです。人類の課題とも言える、がん治療薬に関する部門は非常に安定した収益構造であり、今後も安定した収益が見込まれます。

 

国・地域別売上高比率

グラフN  国・地域別売上高比率

その企業の売上高が地球上のどこで生み出されたものなのかを表しています。世界中でバランスよく事業を行っており特に先進国での事業割合が非常に大きいです。

分社化による経営体制の改善

経営体制見直しの一環として進められている「画期的新薬・低利益の特許切れ医薬品・消費者向け薬品」に事業分割を行う計画の一環として行われる後発医薬品事業のマイランとの統合「新会社Viatris」や、消費者向け薬品事業をグラクソ・スミスクラインとの合弁に分離するなどの計画が完了し、ファイザー本体に画期的新薬が残った後更なる高利益体質を構築できるかが鍵となります。

研究開発費に使われる毎年9000億円近くで新薬を開発できるかどうかにかかっている状態は変わらず、新たな製薬・バイオベンチャーの追随に対しどう立ち向かっていくかが会社の命運を左右するでしょう。

開発に成功した新型コロナワクチン

ファイザーはバイオンテックと共同開発した、新型コロナワクチンの売上高が大きくなりつつあります。

現在世界50ヵ国以上で使用されているワクチンはアメリカでFDAに緊急使用承認を受けて利用されているものですが、5月にアメリカ国内での正式な承認を申請が予定されています。

正式承認に切り替われば価格決定をメーカーが行うことが可能になります。既に世界各国からの発注が相次いでおり、今後さらに生産能力を拡大させて2021年中に25億回分の供給を目指しています。

ファイザー【PFE】の競合企業とその中での推移

2020年12月決算時点での製薬会社売上高世界ランキングでは8位になりました。

売上高は前年比で19%ほど下落していますが、これは特許切れ医薬品事業を分離した合理化策によるもので、分離前のものでは2%ほど増収となっています。

2021年版 製薬会社売上高世界トップ10

ファイザー【PFE】の財務分析

直近5年をグラフにしてそれより前のデータがあるとより理解が深まると思われるものはグラフの外で更に5年ほど前まで載せています。

売上高と営業利益等の推移

グラフA 売上高と利益


営業利益と純利益の推移

グラフB 営業利益と純利益

 売上高と営業利益等、損益計算書項目の推移を示しています。概ね横ばいです、よく言えば安定しているものの悪く言えば停滞していると言った感じです。乳がん治療薬「イブランス」や経口凝固薬「エリキュース」の拡大により、少しずつ営業利益は伸びています。

 


営業利益率と純利益率の推移

グラフC 営業利益率と準利益率

売上高と並んで見たように営業利益は停滞気味です。ただ、乳がん治療薬「イブランス」や経口凝固薬「エリキュース」が追い風となり、営業利益の微成長は続く見通しです。

営業利益率・純利益率・売上高成長率の推移

グラフD 成長率

成長といった面では近年苦戦している事がわかります。

売上高などは停滞気味なのですが、営業利益率自体は総じて悪くありません。利益率の低い部門を分離していますが、この取り組みが完了した後にはより高利益率な事業になっている可能性があります。


BPS・EPS・SPSの推移

グラフE 1株の価値

 

グラフE2 1株当たりの売上高

 

グラフE3 EPSと1株当たりフリーCFの比較

 

順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)CFPS1株あたりフリーキャッシュフロー)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。

CFPSは会計上の利益では無くフリーキャッシュフローの面から数字を出します。基本的にEPSと一致しますが、会計処理の方法が変わったり「純利益は減少したがフリーCFは増加した」場合などにより正確な情報を読み取る事ができます。

良くも悪くも安定した数値で推移しています。

キャッシュフローの推移

グラフH キャッシュフロー

営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。

フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。

ここでは主に営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを紹介します。投資や財務コストに関しては設備投資やインスタント・カバレッジ・レシオを参照ください。

 

グラフS キャッシュフロー比率

営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの成長率と売上高に対する投資の規模を示しています。

投資がどれだけ売上高に結びついているかを知ることができます。

ファイザー【PFE】の株主還元の推移

配当金・配当性向・増配率の推移

グラフF 配当と配当性向・増配率

会社自体の成長はあまり大きくないものの年々増配を続けています。配当性向も低く、緩やかに今後も増配GA期待できるでしょう。

 

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発行済み株式数の推移

グラフL 発行済み株式数

 

 自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。

ファイザーは自社株買いに熱心で配当利回りが比較的高い事に注目されやすいですが、自社株買いによる株主還元にも注目してみると株主還元に積極的なのがわかります。

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ファイザー【PFE】の財務諸表と財務データ

 

グラフO・P 貸借対照表

貸借対照表の各項目を構成比率で表しています。企業の大まかな財務状況の推移が一目でわかります。

それぞれが貸方(総資産)、借方(負債と純資産)を表します。

グラフR 損益計算書(費用と利益)

 

業績の蘭で紹介済みの収益に対応した損益計算書の費用項目と残った利益を表記しています。

 

財務状態と健全性

グラフG 財務データ

ここでは、有利子負債比率・自己資本比率を紹介します。この自己資本比率と有利子負債比率は企業の健全性を大きく表しているので注目しましょう。

毎年多額の研究開発費を要する製薬会社でありながら、40%ほどの自己資本比率を保っており会社としては安全であることが窺い知れます。

グラフQ 財務比率

 

流動比率、当座比率、財務レバレッジ、負債比率を示しています。

流動比率は流動負債に対する流動資産の割合で計算され、短期的な支払い能力を示しています。当座比率は、流動資産の中で「現金預金」「受取手形」「売掛金」などの現金化しやすい資産だけで計算される、流動比率よりも厳しい基準で見た短期的支払い能力の指標です。

財務レバレッジ銀行借入や社債発行などを活用して自己資本を梃子(レバレッジ)にどれだけ負債を活用しているかを示しています。後述される自己資本比率の逆数関係にあり、負債をどのくらい有効活用しているかを表すため、この倍率が高くなると、負債増加によるリスクが顕在化するため注意する必要があります。

 

設備投資額と研究開発費・減価償却費の推移

グラフJ 事業投資

 

設備投資や研究開発費・減価償却費の多い会社は成長企業と見られ、将来が期待されている事が多いです。中には維持費的なものもあるので多額の設備投資や研究開発費が何を目的にしているかは見極める必要があります。

これらにより企業がどのように投資を行っているかを知る事ができます。

毎年かかる多額の研究開発費ですが、ここから新たな新薬が生まれるためこれは非常に重要な支出です。

2020年は新型コロナウイルスのワクチン開発に成功し、新たな収益が見込まれています。

ROE・ROA・営業キャッシュフローマージンの推移

グラフI 経営の効率性

 

こちらは経営の効率性を示すROEとROA、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。

ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。

ROAは総資産利益率を表しており、会社が有する資産を活用してどれほどの利益を上げる事ができているかを表しています。

営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。

一概に言えるものではありませんが、15%を超えていれば良好と言えるでしょう。

グラフI-2 経営の効率性2

 

こちらでは投下資本利益率(ROIC)、インスタント・カバレッジ・レシオ、資産回転率の推移を示すグラフを掲載しています。

投下資本利益率は自己資本や有利子負債も含めた事業活動のために行われた投資がどれだけの利益を生み出したかを数字にしています。

インスタント・カバレッジ・レシオは、会社が営業活動により生み出す利益(基本的に営業利益)と金融収益(受取利息と受取配当金が主に該当)が、毎年の支払利息をどの程度上回っているかを示しており、 企業の財務健全性を示す数値であり、この数値が高いほど金利の支払いなどに関して財務的に余裕があります。反対に比率が低いと営業収益のうち多くの割合が支払利息に当てられる形で負債元本が減らず、財務上厳しい状態にあります。

総資産回転率は企業の資産が効率的に売上に結びついていることを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。

財務効率と回転率等

ここでは財務効率などに関連した数値を解説していきます。

グラフU 財務効率

ここでは、売掛金回収期間と在庫日数、回収期間、現金循環日数を紹介していきます。

売掛金回収期間は売掛金がどれくらいの期間をかけて回収されているかを日数で表しており、その日数が短いほど現金化までにかかる期間が短く資金を効率的に活用できていることになります。

在庫日数は在庫として滞留している日数を表しています。在庫として保有している商品の総数が売上の何日分と言い換えることも出来、この日数が少ないほど在庫量は適正な数にコントロールできていると考える事ができます。

回収期間は投資金額が投資によって生まれるキャッシュフローで計算して何年で回収することが出来ているかを表します。設備投資に関する収益性計算には様々な方法が存在しますが回収期間を指標とした場合、この期間が短いほど安全に効率的な投資ができていると考える事ができます。

現金循環日数は「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」とも言われ、企業が商品を仕入れるために支出を行なってから売上及び売上債権の回収によって現金を得るまでの期間を指します。この日数が長いほど、手元の現金が減っている期間が長い事になり資金繰りの懸念が現れるため、経営状態を表す重要な指標とも言えます。

グラフV 財務効率 回転率

ここでは、回転率を中心に解説します。売上債権回転率、棚卸資産回転率 固定資産回転率 資産回転率を紹介しています。

売上債権回転率は会社が有する売上債権の回収がどのくらいの期間で行われているかを示す指標で、この数字が低いほど債券の回収に時間がかかっており、資金の効率的な活用が妨げられている事になります。

棚卸資産回転率は在庫回転率と言われることもあり、仕入から売上に至るまでの在庫期間によって適切な在庫量などの判断をするための指標であり、在庫を減らしている会社はこの比率が高くなります。在庫回転率が低いと言う事は顧客に販売される事なく在庫として保持する数が多く、管理コストや廃棄リスクを負っていることになります。

固定資産回転率は保有する固定資産が効率的に活用されているかを示しています。この比率が低い場合は保有する固定資産が有効に活用されることなく滞留している疑いがあり、固定資産への投資が過剰である可能性があります。

総資産回転率は企業の資産がどれだけ効率的に売上に結びついているかを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。売上高が総資産の何倍あるかを見ることでその売上に貢献した企業の総資産がどれほど効率的に活用されているかを測ります。(「グラフI-2 経営の効率性2」で解説済みです)

まとめ

「ファイザー製薬」として日本でも知られるファイザーについて解説していきました。現在は非常に幅広い医薬品を扱っていますが、同社もP&Gやコカ・コーラ、マクドナルド、IBMのように「集中と選択」により成長し利益率を向上させようとしています。

P&Gは見事に利益率を改善しつつあり、コカ・コーラやマクドナルドも続こうとしています。ファイザーがこれに成功すれば再び成長する巨大な製薬会社となるでしょう。

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