目次
ペプシコ【PEP】の基本情報と歴史
ペプシコはペプシコーラなどの飲料やスナック菓子を販売する会社です。全世界200ヶ国余りで活動をする多国籍企業であり、日本ではペプシコーラが知名度高いですが世界2位の規模を誇る食品会社でもあります。1919年以来ニューヨーク証券取引所に上場してきましたが2017年12月に上場先をNASDAQに変更しました。
スナック菓子の販売は米国首位で清涼飲料でも首位級です。新たな中国市場の開拓にも熱心で、Eコマースを積極的に活用しようとしています。
コカコーラと並び、健康志向が進む近年の世界に対応すべく家庭用炭酸飲料製造器メーカーのソーダストリームを買収し家庭で手軽に作れる炭酸飲料と言った新しい市場の開拓や「LIFEWTR」と言った高級ミネラルウォーターの販売を始めました。
同業のコカ・コーラに並びこちらも株主還元に積極的な銘柄です。
企業情報(創業年・上場年と市場・従業員数・決算・S&P格付け
増配年数 | 48年 |
S&P格付け | A+ |
従業員数 | 267000人 |
創業年 | 1898年 |
上場年 | 1919年 |
決算 | 12月 |
ペプシコ【PEP】の株価推移
飲料の売上成長やスナック菓子の値上げなど、様々な手段と構成で成長を続けてきました。
概ね右肩上がりです。今後も新たな市場への進出を通じて長きにわたり発展し続ける企業だと思います。
PERとPBR・配当利回りの推移
グラフK バリュエーション
PERは「株価収益率」であり、その株式が収益の何倍で取引されているかを表しており一般的には割安か割高かを測る代表的な指標の一つと言われています。
ただし、これは先行きの業績に対する投資家の期待を表している面もあり低PERの株が本来の価値より割安なのではなく、万年割安株となる可能性もある事に留意しましょう。反対に高PERの株が一概に割高と言った訳でもなく、その高いPERは将来の成長によって正当化される可能性があります。(収益が上る=株価収益率は下がる)
また、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が上がることでもPERは低下します。
PBRは「株価純資産倍率」を表し会社が保有する純資産の何倍で株式が取引されているかを表します。1倍を下回れば会社清算時の残余財産分配額を下回る事になるため割安と言えます。
しかし、不人気な業種だったり将来性が乏しいとされる企業は1倍を切ったまま放置される事がある事とその純資産は全
ペプシコ【PEP】の企業分析・注目ポイントと今後の事業展開
事業構成
事業構成
事業の構成比率を表しているグラフです。飲料事業やスナック菓子事業「Frito Lay」を中心に事業を展開しています。
コカコーラと違い、飲料のみならずスナック菓子なども幅広く展開しています。
国・地域別売上高比率
国・地域別売上高比率
その企業の売上高が地球上のどこで生み出されたものなのかを表しています。アメリカ国内が過半数を占めていますが、残りの約半分で世界各国の様々な地域となっています。
健康志向が進む世界
コカ・コーラやマクドナルドも同じ課題に直面していますが、ペプシコも例外ではありません。同社も健康志向が進む社会に対応できるように改革を続けています。
スナック菓子も清涼飲料も健康とは言い難いもので、これらとは別の新たな市場として家庭で炭酸飲料を作る事ができるソーダ製造器メーカーである、ソーダストリームを買収し家庭で手軽に炭酸水を作る市場の開拓や「LIFEWTR」と言った高級ミネラルウォーターを新たなブランドとして販売開始しました。
また、Eコマースにも力を入れており時代の変化に対応しようと常に同社は取り組んでいます。
ペプシコ【PEP】の競合企業とその中での地位
[adsense]ペプシコ【PEP】の業績データ
売上高と営業利益等の推移
グラフA 売上高と利益
売上高と営業利益等、損益計算書項目の推移を示しています。清涼飲料に加え、北米におけるスナック菓子の値上げや消費拡大によって成長を続けています。
売上高と営業利益の推移を示しています。
営業利益と純利益の推移
グラフB 営業利益と純利益
営業利益も年々ゆっくりと成長が続きます。
営業利益率と純利益率の推移
グラフC 営業利益率と純利益率
営業利益率は15%近辺を安定して維持し続けており、十分な水準を保っています。生活必需品に近く消費者へのブランドが浸透しているため、この安定感は強みだと思います。
営業利益率・純利益率・売上高成長率の推移
グラフD 成長率
[adsense]
1株の価値(BPS・EPS・SPS・CFPS)の推移
グラフE 1株の価値
グラフE2 1株当たりの売上高
グラフE3 EPSと1株当たりフリーCFの比較
順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)CFPS(1株あたりフリーキャッシュフロー)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。
CFPSは会計上の利益では無くフリーキャッシュフローの面から数字を出します。基本的にEPSと一致しますが、会計処理の方法が変わったり「純利益は減少したがフリーCFは増加した」場合などにより正確な情報を読み取る事ができます。
後述の自社株買いも行われており、実際の売上高成長よりも大きく各数字は伸び続けています。
キャッシュフローの推移
グラフH キャッシュフロー
営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。
フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。
ここでは主に営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを紹介します。投資や財務コストに関しては設備投資やインスタント・カバレッジ・レシオを参照ください。
安定したキャッシュフローを毎年創出し続けています。これが源泉となり長年の積極的な株主還元につながっています。
グラフS キャッシュフロー比率
営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの成長率と売上高に対する投資の規模を示しています。
投資がどれだけ売上高に結びついているかを知ることができます。
ペプシコ【PEP】の株主還元の推移
配当金・配当性向・増配率の推移
グラフF 配当と配当性向・増配率
配当金と配当性向の推移を記載しています。連続増配を続けていて、配当性向も基本的には70%近辺と余裕がある配当を行っています。
配当は安全に今後も支払われると見られています。
[adsense]
発行済み株式数の推移
グラフL 発行済み株式数
自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。
配当に加えて自社株買いを積極的に行っており、株主還元に非常に積極的なのがわかります。EPSやSPSの成長を後押ししている要因といえるでしょう。
[adsense]ペプシコ【PEP】の財務諸表と財務データ
グラフO・P 貸借対照表
貸借対照表の概略です。ここでは特に流動比率を見ると良いでしょう。流動資産が流動負債の額を上回っていれば短期的な債務を早期に完済する事が出来ると見込まれるからです。しかし、流動資産にも即時換金できるものばかりではないため内容が重要な事に注意しましょう。流動比率200%超えや当座(現金同等物)比率100%超えがより厳密に見た安全性の指標とみなされています。
流動資産の比率が高いと言った訳ではありませんが、キャッシュフローを安定して創出する事ができており財務場の問題はありません。
グラフR 損益計算書(費用と利益)
業績の蘭で紹介済みの収益に対応した損益計算書の費用項目と残った利益を表記しています。
財務状態と健全性
グラフG 財務データ
ここでは、有利子負債比率・自己資本比率を紹介します。この自己資本比率と有利子負債比率は企業の健全性を大きく表しているので注目しましょう。
グラフQ 財務比率
流動比率、当座比率、財務レバレッジ、負債比率を示しています。
流動比率は流動負債に対する流動資産の割合で計算され、短期的な支払い能力を示しています。当座比率は、流動資産の中で「現金預金」「受取手形」「売掛金」などの現金化しやすい資産だけで計算される、流動比率よりも厳しい基準で見た短期的支払い能力の指標です。
財務レバレッジ銀行借入や社債発行などを活用して自己資本を梃子(レバレッジ)にどれだけ負債を活用しているかを示しています。後述される自己資本比率の逆数関係にあり、負債をどのくらい有効活用しているかを表すため、この倍率が高くなると、負債増加によるリスクが顕在化するため注意する必要があります。
設備投資額と研究開発費・減価償却費の推移
グラフJ 事業投資
設備投資や研究開発費・減価償却費の多い会社は成長企業と見られ、将来が期待されている事が多いです。中には維持費的なものもあるので多額の設備投資や研究開発費が何を目的にしているかは見極める必要があります。
これらにより企業がどのように投資を行っているかを知る事ができます。
ROE・ROA・営業キャッシュフローマージンの推移
グラフI 経営の効率性
こちらは経営の効率性を示すROE、健全性を示す自己資本比率、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。
ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。
自己資本比率はその名の通り総資産に占める自己資本の割合で計算されます。
営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。
一概に言えるものではありませんが、15%近辺が維持されており概ね良好と言えるでしょう。
グラフI-2 経営の効率性2
こちらでは投下資本利益率(ROIC)、インスタント・カバレッジ・レシオ、資産回転率の推移を示すグラフを掲載しています。
投下資本利益率は自己資本や有利子負債も含めた事業活動のために行われた投資がどれだけの利益を生み出したかを数字にしています。
インスタント・カバレッジ・レシオは、会社が営業活動により生み出す利益(基本的に営業利益)と金融収益(受取利息と受取配当金が主に該当)が、毎年の支払利息をどの程度上回っているかを示しており、 企業の財務健全性を示す数値であり、この数値が高いほど金利の支払いなどに関して財務的に余裕があります。反対に比率が低いと営業収益のうち多くの割合が支払利息に当てられる形で負債元本が減らず、財務上厳しい状態にあります。
総資産回転率は企業の資産が効率的に売上に結びついていることを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。
財務効率と回転率等
ここでは財務効率などに関連した数値を解説していきます。
グラフU 財務効率
ここでは、売掛金回収期間と在庫日数、回収期間、現金循環日数を紹介していきます。
売掛金回収期間は売掛金がどれくらいの期間をかけて回収されているかを日数で表しており、その日数が短いほど現金化までにかかる期間が短く資金を効率的に活用できていることになります。
在庫日数は在庫として滞留している日数を表しています。在庫として保有している商品の総数が売上の何日分と言い換えることも出来、この日数が少ないほど在庫量は適正な数にコントロールできていると考える事ができます。
回収期間は投資金額が投資によって生まれるキャッシュフローで計算して何年で回収することが出来ているかを表します。設備投資に関する収益性計算には様々な方法が存在しますが回収期間を指標とした場合、この期間が短いほど安全に効率的な投資ができていると考える事ができます。
現金循環日数は「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」とも言われ、企業が商品を仕入れるために支出を行なってから売上及び売上債権の回収によって現金を得るまでの期間を指します。この日数が長いほど、手元の現金が減っている期間が長い事になり資金繰りの懸念が現れるため、経営状態を表す重要な指標とも言えます。
グラフV 財務効率 回転率
ここでは、回転率を中心に解説します。売上債権回転率、棚卸資産回転率 固定資産回転率 資産回転率を紹介しています。
売上債権回転率は会社が有する売上債権の回収がどのくらいの期間で行われているかを示す指標で、この数字が低いほど債券の回収に時間がかかっており、資金の効率的な活用が妨げられている事になります。
棚卸資産回転率は在庫回転率と言われることもあり、仕入から売上に至るまでの在庫期間によって適切な在庫量などの判断をするための指標であり、在庫を減らしている会社はこの比率が高くなります。在庫回転率が低いと言う事は顧客に販売される事なく在庫として保持する数が多く、管理コストや廃棄リスクを負っていることになります。
固定資産回転率は保有する固定資産が効率的に活用されているかを示しています。この比率が低い場合は保有する固定資産が有効に活用されることなく滞留している疑いがあり、固定資産への投資が過剰である可能性があります。
総資産回転率は企業の資産がどれだけ効率的に売上に結びついているかを表す指標であり、企業の総資産が1年に何回売上高という形で回転したのかを示しています。売上高が総資産の何倍あるかを見ることでその売上に貢献した企業の総資産がどれほど効率的に活用されているかを測ります。(「グラフI-2 経営の効率性2」で解説済みです)
まとめ
日本ではペプシコーラとしての知名度が非常に高いですが、世界的なスナック会社でもあるペプシコ社の分析をしていきました。安定したセクターである消費者向け企業として非常に良い企業であり、事業も配当も財務も今後の成長が見込めます。
連続増配株でもあるため、長期投資で大きなリターンを見込む事ができるでしょう。