IBM【IBM】の銘柄分析と今後 株価・永遠の不発弾と呼ばれる過去の業界覇者

IBM【IBM】の基本情報と歴史

かつてITの巨人と呼ばれており、コンピュータ創世記における業界の覇者であったIT関連サービス大手です。では、現在はどうなのかと言いますとOSではMicrosoft、クラウドではMicrosoftとAmazonの後塵を拝しクラウド主体の企業に代わるため経営改善を続けています。

世界170カ国以上で大型のシステム開発案件を手掛けています。しかし、長期にわたり大きな成果を出せず毎期減収を披露する銘柄になってしまいました。ウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが一度投資をしたものの業を煮やし数年内にすべて売却をしてしまし、本人も「IBMに投資をしたことは間違いだった」と語りその後もことあるごとに投資の失敗としてIBMを例に挙げるほどです。

IBMのクラウドサービスは確かにlaaSの分野ではAmazonのAWSやMicrosoftのAzureの後塵を拝していますがそれでも世界5位、SaaSの分野では世界3位とlaaS以外の事業では非常に安定した事業を展開しています。また、ITサービス売上高では首位世界シェアの6%を持っています。人工知能WatsonなどAIの分野でも強く現在も続く高配当の連続増配株です。成長への期待が薄れていることにより永遠の不発弾なんて言われてしまっていますが…。

IBM【IBM】の株価推移


IBMの株価です。2014年に200ドルを超えましたがその後伸び悩み130~150ドル台を推移するなど低迷が激しいです。2020年に入り、NASDAQ上場銘柄を中心にIT株がS&P500をアウトパフォームしていく中で更に株価は低迷し120ドル台で推移するなど非常に厳しいと言えるでしょう。2019年7月にレッドハットを買収し、2020年10月にはITサービス部門を分社しクラウド事業に専念することを発表しました。特にITサービス部門の分社は短期的には良いニュースと市場から受け止められましたが、これが長期的にいい影響を与え再び成長路線に回帰することができるかどうかがカギです。

他の既存事業による減収を中核となるITコンサルやクラウド事業の収益で補い、やっと減収に歯止めがかかる見通しとされています。

クラウドやAIによって再びIBMは成長企業になることができるでしょうか。

IBM【IBM】の財務分析

売上高と営業利益等の推移

 売上高と営業利益等、損益計算書項目の推移を示しています。

売上高と営業利益は共に減少しています。事業の転換を急いでいる最中ですが、それが実を結び現在の投資家が将来報われることを願います。

営業利益と純利益の推移

売上高と同じようにあまり良く無い数字となっています。

営業利益率と純利益率の推移

営業利益率などは下がり基調ではあるものの元々さほど酷い数値ではありません。しかし、同業者と比較するとかなり低い数字となります。

利益率の高いクラウド事業が今後どれだけ拡大するかにかかっていそうです。

BPS・EPS・SPSの推移

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
EPS 13.42 12.38 6.14 9.52 10.57

順にBPS(一株当たりの純資産)EPS(一株当たり純利益)SPS(一株当たり売上高)を示しています。これらは一株当たりの価値を測る数字として有効です。

株主還元の所で解説しますが、IT関連企業の中ではかなり自社株買いに積極的な方でその成果として一株あたりの指標は特に大きく悪いと感じる要素がありません。

 

貸借対照表

貸借対照表の概略です。ここでは特に流動比率を見ると良いでしょう。流動資産が流動負債の額を上回っていれば短期的な債務を早期に完済する事が出来ると見込まれるからです。しかし、流動資産にも即時換金できるものばかりではないため内容が重要な事に注意しましょう。流動比率200%超えや当座(現金同等物)比率100%超えがより厳密に見た安全性の指標とみなされています。

レッドハットの買収を行ったこともあり、負債が増えています。懸念といえばこれに尽きると思いますが、分社後のIBMの評価はこの負債分担もかなりの影響を及ぼすことでしょう。

キャッシュフローの推移

営業キャッシュフローは営業活動による収支、投資キャッシュフローは投資活動による収支、財務キャッシュフローは借入金の返済や配当・自社株買いなどを表します。新規借入などを行った時はプラスになる事があります。

フリーキャッシュフローは株主にとっては特に重要で会社が自由に使えるお金を指します。これが内部留保になったり、配当・自社株買いの原資となるからです。

キャッシュフローはどれも元々かなり良好な部類で停滞する中でも自社株買いや増配といった手厚い株主還元を続けているその源泉と言えるでしょう。

ROE・自己資本比率・営業キャッシュフローマージンの推移

こちらは経営の効率性を示すROE、健全性を示すROE、営業活動からどれだけ効率的にキャッシュフローを得ているかを示す営業キャッシュフローマージンです。

ROEが高い企業は設備投資や自社株買いを通じて資本を効率的に活用していることを示しているため、高ければ高いほど自己資本比率は下がる傾向にあります。直近が50%辺りとそれなりに高水準を維持しています。

自己資本比率はその名の通り総資産に占める自己資本の割合で計算されます。IBMは自己資本比率が元々低い水準で推移しています。

営業キャッシュフローマージンは売上高のうちどれだけの金額を現金で得る事ができたかを見る指標です。高いほど売上額から経費をかけず会社に現金収入をもたらしていると言えます。営業キャッシュフローが営業利益を下回る場合はその営業利益が現金ではない別の入り方をしている事に注意しましょう。

15%を超えていれば良好と言えるものなので停滞してもなお良好なラインを維持し続けているといえます。

設備投資額の推移

設備投資の多い会社は成長企業と見られ、将来が期待されている事が多いです。中には維持費的なものもあるので多額の設備投資が何を目的にしているかは見極める必要があります。

IBM【IBM】の株主還元

配当と配当性向の推移

 配当金と配当性向の推移を記載しています。

なんと、減収減益でありながらも25年に渡り増配を続けています。それで配当性向も61%とまだ余裕があります。しかし、同業者で配当を出している企業の中では高めであり近年の増配率が下がっている事を考えると経営陣も将来的な厳しさを感じているものと思います。

発行済み株式数の推移

 自社株買いなどによって発行済み株式数が減るほど、一株当たりの価値は向上し株主に利益をもたらします。

従来から非常に積極的な自社株買いを行っていて、これは確実にEPSなどの向上に役立っており株主価値を高める事に貢献しています。

 

IBM【IBM】の今後の事業展開

事業構造の転換

IBMは1990年代にも主力であったメインフレームが過去の遺物と化した事から停滞し、IBMは1993年1月13日に発表した1992年決算で49億7000万ドルの損失を発表した。これは当時の単年度の単一企業による損失額としてはアメリカ史上最悪とまで言われました。

その後、ハードウェア中心の事業からコンサル、ソフトウェアなどを中心とする業態に転換し様々なハード関連事業を売却してきました。

主なものとしては以下になります。

1998年回線プロバイダー事業をAT&Tに売却

2003年ハードディスク駆動事業の日立製作所への売却

2005年パソコン事業をLenovoに売却

2007年デジタル印刷事業をリコーに売却

2012年POS事業を東芝テックに売却

こうして、IBMは業績を回復しました。そして、2010年代に再びクラウド事業への乗り遅れから過去の企業と呼ばれ始めています。

1990年代のように復活できるかどうかの鍵を握るのは従来のAIやクラウドなど将来性ある事業でありこれらが生み出す業績がIBMの命運を左右するでしょう。

まとめ

laaSの世界では遅れをとっていますが、AIやSaaSの分野などでは今も有力な企業であります。

固有の強みを今も有する世界有数の企業であり、株主還元にも積極的で株価は割安であるため復活の兆しを見せる時が来た時にはIBMの投資家は大きな利益を得る可能性があります。

IBM【IBM】の関連記事・参考情報

この記事の改訂前版です。配当など数字などのデータは少し古いものも掲載しているので長期的な比較の際は是非

IBM(IBM)の銘柄分析(株価・配当など)

2019年10月26日

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