コロナウイルスと景気後退懸念で下落した米国の優良銀行株

リーマンショックとは違う銀行の冬

リーマンショック以降、銀行にとっては厳しい低金利の時代が続きました。2016年以降の連邦準備制度理事会による段階的な利上げで2019年中に3%程度まで利上げがされると予想されていましたが、現実には米中貿易戦争やコロナウイルスによるリセッションの懸念で利下げを行い現在は0.00%~0.25%と事実上のゼロ金利政策が4年で復活しました。

これにより、預金金利と貸出金利や債券運用による利鞘が縮小し利益を圧迫するので銀行は厳しい時代に置かれています。

アメリカの長期金利が1%を下回るという異常事態の中で自社株買いをしばらく停止することを発表した銀行セクターは市場平均を上回る大きな下げ幅となっています。ここでは、株価が大幅に下落した有望銘柄、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴの3つを紹介します。

年初来でJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカはそれぞれ約30%、ウェルズ・ファーゴは約50%下落しておりトランプ相場以前の安値で銀行株を購入することができます。

しかし、今回はサブプライム住宅ローンを発端とする金融危機が引き金ではなく、リーマンショック後に行われた金融機関への規制などにより銀行はより強固な企業となり金融システムは極めて健全です。FRB(連邦準備制度理事会)によるストレステストにも合格し増配と自社株買いも続けてきました。

株式相場の下落は時に恐ろしい数字を我々に見せることがありますが今の金利・株式市場の下落は10年前のような金融システムの崩壊によるものではないことを冷静に意識してみるといいと考えています。

ここではその銀行セクターの中でも長期投資に適した3行について紹介していきます。

JPモルガン・チェース(JPM)

商業銀行、投資銀行はもちろんリテール金融サービス、クレジットカード、財務・証券サービス、資産管理などを中心とする時価総額において世界最大の総合金融グループです。

商業銀行部門は前述のように金利低下による収益圧迫を受けますが、投資銀行部門は厳しい状態ではある者の必ずしも収益悪化を意味しません。トレーディング収益をはじめとする資産収益率でJPモルガン・チェースは常に1位か2位を争う銀行で非常に収益率がいいです。

預金規模は三菱UFJフィナンシャルグループとほぼ同等であるにもかかわらず、三菱UFJの2019年9月期は2兆6703億円のに対し、JPモルガン・チェースは約4兆円と大きな差があります。

さらに、デジタル・モバイルバンキングなどによる経費削減やジェイミー・ダイモンCEOが積極的な買収を示唆するなど金利収入以外の活路を見出そうと積極的な活動を続けています。

2020年4月2日時点での株価は84.36ドルで株価収益率は7.87、配当利回りは4%とかなり割安な水準となっています。

JPモルガン・チェースの銘柄分析(株価・配当など)

2019年10月2日

バンク・オブ・アメリカ(BAC)

バンク・オブ・アメリカはアメリカ国内の預金総額で最大であり、メリルリンチによる投資銀行部門も有する総合銀行です。リーマンショック以降、良質な債権を持つための取り組みに余念がありません。特に経営効率化のため非金利費用の削減に重点を置き成功していることです。

この10年間で支店をいくつか閉鎖し、デジタルバンキングとモバイルバンキングに注力することで、消費者向け銀行サービスを提供するためのコストを削減することに成功しました。

こうした、デジタルバンキングによるコスト削減は低金利による収益悪化を相殺することができます。

株価は19.77ドルと2016年来の安値で株価収益率7.19倍、配当利回りは3.39%と非常に割安です。

バンク・オブ・アメリカ(BAC)の銘柄分析(株価・配当・見通し)

2019年11月19日

ウェルズ・ファーゴ(WFC)

ウェルズ・ファーゴもアメリカの大手銀行の一角をしめる1つです。商業銀行に専念する保守的な経営姿勢からリーマンショックの影響を大きく受けず、その時期に同業者「ワコビア」を買収したことにより今日に至るまで成長を続け一時は時価総額で世界最大の銀行となりました。

その後、2016年に発覚した銀行口座やクレジットカードに関する不正を受けて連邦準備制度から総資産2兆ドルを超えてはならない規制を受けて株価は低迷しています。

ウェルズ・ファーゴが有する資産1.9兆ドルのうち1兆ドルがローンによる債権です。以下でその比率を紹介します。

商業および産業ローン 3,540億ドル 18%
商業用住宅ローン 1,120億ドル 6%
住宅ローン 3,230億ドル 17%
その他の消費者・商業ローン 1,620億ドル 8%

短期的にはこれらのローンは返済延期や貸し倒れなどで危険にさらされますが、配当性向や営業収益など財務上の数字は依然として良好であり上記の2行と比較するとリスクがあるものの長期的には良い投資先であると考えています。

株価は26.57ドルと年初来50.57%の下落で株価収益率は6.56倍、配当利回りは7.11倍です。

ウェルズ・ファーゴ(WFC)の銘柄分析(株価・配当など)

2019年10月24日

まとめ

以上の3行はアメリカのメガバンクでありリーマンショックを生き延びより強固となった銀行群です。

この先もしばらく低金利が続くと思われ、株価下落により配当利回りもかつてないほどに高くなっており、自社株買いの停止を発表するなどしばらく厳しい時代が続くことも予想されますがそれを耐え忍ぶことができる投資家はバフェットも選好するこの銀行セクターには投資する価値があります。

米大手銀、自社株買い停止 個人や企業の資金繰り支援優先

配当に及ぶ懸念はありますが、資金繰り支援のために4~6月期の自社株買いの資金を原資にするということであり、配当性向はいずれも30%台に抑えられていることから現在のところ配当は安全であると思います。

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