バイデン大統領が誕生した際の政策と市場の反応

今年の11月に行われるアメリカの大統領選挙であらゆる世論調査の結果で民主党の候補者である前副大統領ジョー・バイデンが今秋の大統領選挙で首位を維持している現在、市場参加者はこのシナリオが現実になった時にどのような政策を新政権が遂行する事になるのか考え始めています。

トランプ大統領になり特に銀行業界は、規制に関しては、現在の政権が遂行した政策の下で素晴らしい業績を収めています。大幅な法人税の引き下げに加えてドッド・フランク法の大幅なロールバックやボルカールールの緩和など銀行業界には非常に強い追い風となりました。

税制改革とドットフランク法

特に税制改革に関しては銀行業界のほかも含めた市場全体に大幅な利益と株価の上昇をもたらしています。

まず、このトランプ大統領による税制改革では法人税率が35%から21%に引き下げられました。バイデン氏はこれを28%まで引き上げる計画であると述べており、長期投資で生まれたキャピタルゲインにかかる税金も現在の20%から40%に上げることを提案しており、富裕層の資産管理を業とする信託銀行等は打撃を受ける可能性があります。

このように富裕層や大企業に対する増税の姿勢を示し経済政策の軸足を一段とリベラル色の強い方向へ大きく傾斜させている背景には、民主党の予備選を争ったエリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員とその支持者からも支持を得るためであると考えられています。

2018年には、議会はロールバックさドッド・フランク法が業界に重くのしかかっている現状からロールバックにより、安全基準を満たし破綻しないと考えられている金融機関の基準が500億ドルから250億ドルに変更され多くの銀行がストレステストの強化から解放されました。

他にも資産が100億ドル未満の銀行は、強制的なストレステストや銀行が自己勘定取引を行うことや、ヘッジファンドやプライベートエクイティなどのカバードファンドとの特定の関係を結ぶことを禁止していたボルカー・ルールから除外されるなど非常に大きな改革となりました。

 

中国との関係

トランプ大統領は以前から貿易赤字の是正を掲げており、任期中の大きな問題として中国やメキシコなどとの貿易戦争に費やし、欧州や韓国に対しても駐留費用で負担を迫っています。その取引を有利に進めるカードとして当該国からの輸入品に対して関税を課すことを多用してきました。これらの関税は全て互いの国の取引当事者のみならず、関係会社と取引をする際のコストも増大させ最終的には消費者に転嫁されます。

これにより消費が落ち込む要因ができる懸念から幅広い経済情勢に影響を受ける銀行株は大きな影響を受けました。民主党も中国に対しては総じて強気の姿勢を示していますが、この関税の問題に関しては国内経済への悪影響から撤廃すると見られています。

バイデン氏とその周辺の銀行セクターに対する姿勢

バイデンが銀行業界をはじめとした市場に対してどのような政策を掲げるかは最近のバイデン氏とサンダース氏が合同で行っている調査チームの提言からも推察することができます。

そして、バイデン氏が大統領に選出された場合はエリザベス・ウォーレン上院議員を新政権の財務長官に任命するといった憶測も存在します。ウォーレン氏は近年大きく報道もされているGAFA解体の主張のみならず、大きな銀行の解体についても主張しています。ウォーレン氏が財務長官又は関連する官職に就いた場合、規制の強化を要求する可能性が高く、市場参加者の銀行に対する信頼を損なう可能性があります。

最近では、バイデンはバーニー・サンダース上院議員と一緒に新しいタスクフォースを作り、民主党内の政策を検討しています。この提言をまとめたのは、バイデン氏とサンダース氏に加えてさら両支持者らが長く訴えてきた多くの構想が現れています。サンダース氏が日々掲げている1時間当たり15ドルへの最低賃金引き上げや、労働者の保護、気候変動問題への政府の対応などです。

他にも2008年のリーマンブラザーズを発端とする金融危機以降度々主張されてきた、米金融業界に対してはよくある商業銀行と投資銀行を分割する提案で、銀行に投資銀行・証券業務の兼営を禁じたかつての「グラス・スティーガル法」(1999年に廃止されておりバイデン氏はこれを後悔していると度々コメント)に類似するものもあります。

ただ、効果のほどは明らかではなく、かつて破綻したワコビア、ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザースはいずれもそれらの基準を満たしており、倒産の予兆などはなかったにもかかわらず破綻しています。

特に米国民すべてに連邦準備制度(FRS)の口座を1つ与えるといった提案があり社会的な弱者にとってはある程度の強みとなる可能性がありますが、今や世界経済の根幹を背負うといっても過言ではないバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースといった利益目的の銀行にとっては連邦準備制度と競合する形となり、利便性・店舗数など一定の方法で差別化を図りながら経営する必要性が生じ過大な競争に陥る可能性もあります。

その現実性

これらが現実になるのか、ただのリップサービスなのか、実現は不可能なのかに関しては同日に行われる連邦議会議員選挙が左右します。

バイデン氏が圧勝すれば議会も民主党が占め、僅差なら上院を共和党が維持するメディアの予想が複数あります。

しかし、バイデン大統領の誕生に対してそう悲観的になる必要はないと考えています。バイデン氏も「ミドルクラスの再生」を掲げておりこの目標に沿ってアメリカ経済の再生を目指すのであれば自ずと企業の業績を支える政策を遂行し、株価も緩やかな上昇が維持されると考えています。

また、バイデン氏は上院外交委員長も務めた外交政策に関する重鎮であり、移民にも前向きな姿勢を示しています。世界の人材が集まり発展を続けてきたアメリカ経済を長期的には後押しするものになるでしょう。

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

閲覧ありがとうございます。こちらも押していただけると嬉しいです!